日本のEV充電インフラは世界トップレベル 充電スポット数も増やす必要がないほど十分

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またEVだけでなくハイブリッドカーや燃料電池車、さらに日産ノートのようにガソリンエンジンを発電機として走る電動車もあるなど、電気モーターで走る技術も日本は世界をリードしている。電気モーターで走るクルマの商品化を、これほどの年月や台数、バリエーションで実現している自動車メーカーがいくつもあるのは日本くらいだ。

「さらに電池に関しても、これだけの数の電池メーカーがしのぎを削っている国はほかにはありません。アメリカのEVメーカーですら日本製の電池を採用しているのですから」

つまり、(1)充電インフラの普及、(2)電気モーター技術、(3)電池技術というEVの普及に欠かせない三大要素で、日本は世界のトップを走っているというわけだ。

「今では中国やインドなど、世界中で多くの国々がEVの研究を進めていますが、その実証実験は全部日本に持ってくればいいと胸を張って言えるほど、日本はEVを走らせる環境が世界で最も整っているのです」

このような環境をそろえて、リーフというEVが累計販売数で10万台を突破した。これをどう見るべきか。

「ようやく『自動車を買う時に「ガソリンにする?電気にする?どっちにする?』という“購入対象”にはなったと言える台数だと思います。ただ、まだ『ガソリン車より環境に優しいから』という理由で購入される方が多いのではないでしょうか。50万台を超えれば、それこそクルマの魅力が受け入れられたということでしょう」

池谷氏も日本のEV用の充電インフラには太鼓判を押すが、消費者心理にはまだ届いていないのか

EVの普及には三つの施策が必要

池谷氏は「普及のためには国による強力なリードも必要」だと指摘し、三つのアイデアを提案する。

「一つは、国が自動車メーカーに『全販売台数の20%』など、一定割合をEVなどゼロエミッションとするよう義務づけることです。こうした規制は自動車メーカーを苦境に追い込むと思われがちですが、たとえばかつて世界一厳しいと言われたアメリカ・カリフォルニア州の排気ガス規制をクリアしたことで、日本メーカーの技術力の高さが世界的に認知されることになりました。今や日本車の代名詞でもある”省エネ”は、こうした数々の規制を乗り越えることよって技術が磨かれてきたのです」

自動車メーカーにはこうした”ムチ”が必要な一方、消費者に対しては”アメ”のような施策も同時に必要だと言う。それが二つ目のアイデアだ。

「たとえばノルウェーは天然ガスが豊富で、水力や風力なども加えて電力がたくさんあります。一方で国内に自動車メーカーはありません。そんなノルウェーは輸入車に関税を課しているのですが、EVだけは免税にして導入を促進しています。さらにEVは公共駐車場が無料、充電スタンドも無料で利用できます。また本来バスしか走れないバスレーンもEVだけ通行を許可しています」

それだけEVを優遇するのは、もちろん理由がある。

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