リクルート発「シフト管理」課題への最適解 店長300人と会って見えた飲食店のリアル
シフト管理ツールはこれまでもあった。沓水氏は、それらとAirシフトの違いを次のように強調する。
「第一世代のシフト作成ツールは、店長が紙や表計算ソフトなどを用いて手作業で組んだシフト表の結果を入力して、きれいに印刷するだけのものでした。第二世代は、ツールからメッセージを送れるなどコミョニケーション機能がついたものの、そうしたやり取りとシフト作成プロセスが分断されていて、ミスが起こりやすかった。
それに対して、『Airシフト』はコミュニケーションとシフト作成の一体化を実現。まさに“シフト管理の新しいカタチ”なのです」
『シフトボード』との連携で、スタッフもうれしい
アルバイト・パート勤務者に人気の、シフト管理・給与計算ができるアプリ『シフトボード』と連携している点も見逃せない。店舗においては新しいツールを導入してもスタッフが拒否反応を示したり使いこなせず、実際には業務が回らないというケースがあるが、『シフトボード』は300万ダウンロード(2018年3月24日現在)を突破しており、Airシフトを導入した店舗では、導入前にすでにスタッフのほとんどがシフトボードを利用していた、という事例もあったという。

もともと同アプリを利用しているスタッフも多く、普段使っているアプリでシフト提出から確認までできるようになるためスタッフにとってもメリットは大きく、スムーズに導入しやすいという利点もある。

『シフトボード』アプリ内のメッセージ画面
気になるAirシフトの利用料は月1000円~と格安。2018年7月31日までは無料キャンペーン中(通常は利用開始月と翌月が無料体験期間)で、コスト面でも導入のハードルは低いといえるだろう。
Airシフトの利用で、店長の負担はどのくらい軽くなるのか。すでに導入した東京・渋谷のカフェ&バー「VANDALISM(ヴァンダリズム)」では、シフト作成の所要時間がなんと74%削減。スタッフからの希望シフトの転記、シフト組み、スタッフへのシフト共有の時間が大幅に削減されたといい、沓水氏の想像を超える効果が発揮された。
「VANDALISM(ヴァンダリズム)では、もともと効率的なシフト管理が行われていました。そこでこれだけの数字が出たのだから、一般的な店舗なら、さらに大きな効果を望めるのではないでしょうか」
注目すべきは、その後の展開だ。店長いわく「シフト管理は辛いもので、楽しくなるなんて思ってもいなかったが、今は出そろった希望シフトを見ながらパソコンでポチポチクリックするだけでシフトが完成していくのが、やっていて楽しく感じられる」。

また、シフト管理作業が大幅に削減されたことで、忙しい日々の中で十分にとれていなかったプライベートな時間や睡眠時間が確保できるようになった。そのおかげで、気持ちにゆとりができ、スタッフや顧客への接し方も柔らかくなったという。
沓水氏は「できる限り煩わしい作業を減らし、それによってできた時間や労力をより重要な業務に活用してもらうことが狙いです。たとえば、スタッフ一人ひとりを気遣ってシフトを組みたくても、忙しすぎるあまり単純にパズルのピースを当てはめるようにシフトを組まざるをえなかった店長さんが、『あのスタッフは疲れているようだから今週は少なめに』、『卒業旅行のために稼ぎたいと言っていたから多めに』と、今まで以上にスタッフそれぞれの思いや事情を汲み取ってシフトを組めるようになるかもしれない。それによりスタッフの満足度も上がり、結果として接客やサービスのクオリティが高まっていくことで、より良いお店づくりができていく。ぜひそのお手伝いをしたいですね」と語る。

すでに、店舗運営の心強い味方になりつつあるAirシフト。今後は自動でシフトの仮組を行い、そこから少し修正を加えるだけでシフトが完成する機能や、機械学習を用いて店長のシフト作成や修正の癖を学習して、最適なシフトを提案する機能なども実装予定。また、ほかのAirシリーズ商品と連携させるなどして、さらなる効率化を目指す考え。これからも要注目だ。