「動画」こそがメディアの未来だ スマートフォンの主役をめぐる大バトル
ディスカッションII
テレビ報道の「ネット対応」最前線
第2部では、山田俊浩編集長の司会で、進化するテレビ報道のネット対応について語り合った。
日本テレビの宇佐美理氏は、CS等のニュース専門チャンネル「日テレNEWS24」を、同社サイトや動画配信サービス、アプリ等でライブ配信する取り組みを紹介。ニュースの途中からの視聴になりがちなライブの弱点を克服するため、トップニュースからの再生、ニュース単位でスキップと巻き戻し、SNSでのシェア等の機能を設けた。また、スマホやPC視聴向けに本題から始まる構成のニュース「the SOCIAL」を配信。「動画の時代を作り出すため、映像の力とともに、スマホに合った視聴の自由度が高い配信方法を開発すべき」と語った。
フジテレビの標あかね氏は、ネット向けニュースを制作・配信する「ホウドウキョク」の戦略を説明。大災害などで中継映像を流すライブストリーミングや、音声なしでも内容が分かる解説番組などのスマートフォン向け動画を配信。スマホユーザーに対しては「意味のない映像を無理に押し付けるのではなく、ニュース内容に応じて、文字も含めたさまざまなコンテンツ形態から最適な形で見せることが大事ではないか」と指摘。ホウドウキョクの取り組みを受け、フジ系列報道局のニュースサイト「FNN-News.com」も近くリニューアルされることを明らかにした。
テレビ朝日の西村大樹氏は、最新ニュースをオンデマンド型で提供する「テレ朝News」と、スマートフォン向けライブストリーミング型のインターネットテレビ、アベマTV内の「Abema News」(アベマニュース)の二本柱を紹介。サイバーエージェントと共同で設立したアベマニュースでは、開局4日目に発生した熊本地震を機に、震度4以上の地震情報は10分以上配信することや、複数の速報すべきニュースが発生した場合に緊急チャンネルを増やす体制にしたことを説明。「今、何かが起きているらしいという時に見てもらえるメディアを目指す」と話した。