腸活ブームで注目の進化したシリアルとは? ブームの背景に食物繊維豊富なスーパー大麦

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 このところ、注目されているのが「腸の健康」。腸内環境を整えて、健康づくりを目指そうという「腸活」がブームになっている。そんな「腸活」ブームに連動してシリアルも話題を呼んでいる。さまざまな味や健康をサポートする素材の入ったシリアルが続々と登場。どんな素材や商品がトレンドなのだろうか。2018年の腸活のカギは「スーパー大麦」だ。国内外の健康食品ビジネスに詳しい健康食品ビジネスコンサルタントの武田猛氏と、シリアル食品メーカーの日本ケロッグに話を聞いた。

腸の健康づくりで注目したい素材は大麦、小麦ブラン

まず、腸の健康が注目を集めるようになった経緯について、著書に『ヒットを育てる! 食品の機能性マーケティング』(日経BP社)などがあり、健康食品ビジネスコンサルタントを行うグローバルニュートリショングループ代表取締役・武田猛氏に聞いた。

「欧米の健康食品市場では、ナチュラルヘルシーとウェイトウエルネスが商品開発の2大トレンドです。前者は天然素材がもつ豊富な成分を生かすこと。後者は過度なカロリー制限ではなく、健康によい食品を毎日の食事に取り入れて体重を調整するという考え方です。この2つから派生して腸によい食品への関心が高まり、日本にも波及しました」。

腸活というと、便秘の予防を連想する人が多いかもしれないが、「腸を整えることはダイエットや、体全体の健康につながるとして重要視されています。学会では、免疫の働きやメンタルヘルスにも影響するという研究結果が報告されています」と武田氏は語る。

そうして消費者に浸透してきたのが、食物繊維を積極的に摂ろうという意識。食物繊維は現代人の食生活では不足しがちだ。厚生労働省がまとめた『日本人の食事摂取基準』(2015年版)では、1日あたりの食物繊維の望ましい摂取量は成人男性で20グラム以上、成人女性で18グラム以上。ところが『平成28年国民健康・栄養調査』によると、成人男性の平均摂取量は15.0グラム、成人女性は14.4グラムしか摂っていない。食物繊維不足を補える食材として、武田氏が注目するのは大麦と小麦ふすま(小麦ブラン)だ。食物繊維が多い野菜であるゴボウ(皮付き生)の場合、可食部分100グラムあたりに含まれる食物繊維は5.7グラム。それに対して大麦(押麦)は9.6グラムもある(「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より)。

株式会社グローバルニュートリショングループ 代表取締役 武田 猛氏

「食物繊維は、水に溶ける“水溶性食物繊維”と、溶けにくい“不溶性食物繊維”の2つに大別されますが、大麦に含まれる食物繊維の大半が水溶性です。水溶性の繊維は腸の中にいる乳酸菌やビフィズス菌のような善玉細菌のエサになるので、有用な細菌が増え、悪玉菌の増殖を抑えます。そうした働きで、腸の環境が整えられると考えられています」と武田氏は語る。もうひとつの食物繊維である不溶性食物繊維はどうなのか。「腸内細菌のエサにはなりにくいとされていますが、ビフィズス菌や乳酸菌など有用な菌を腸まで届け、便通をよくする働きがあります」。

この不溶性食物繊維を多く含む食材が、小麦ブラン。小麦の外皮分部のことで、小麦粉の製粉の過程で取り除かれてしまう部分だが、100グラムあたりの食物繊維は約40グラムにもなるという。このように水溶性食物繊維が豊富な大麦と不溶性食物繊維が豊富な小麦。この2つを同時に摂取することで、MACs(腸内細菌のエサとなる穀物繊維)と呼ばれる穀物の相乗効果が期待されるという。

「大麦や小麦ブランは風味が独特なので、調理や加工がしづらいのが難点です。手軽に食べられるという点で着目したいのはシリアルです。コーンフレークのイメージが強いかもしれませんが、大麦など食物繊維が豊富な素材を使ったシリアルも増えています」

腸活ブームで注目されるシリアル。では、どのような商品が開発されているのか。今回は、大麦の中でも最近特に注目されている「スーパー大麦(※)」を使ったシリアルを展開している日本ケロッグを取材した。

(※)「スーパー大麦」は、一般の大麦と比較して2倍以上の食物繊維と、第3の食物繊維といわれるレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)を豊富に含むスーパーフード。オーストラリア連邦科学産業研究機構が開発し、総合素材メーカーの帝人が販売している。2018年3月17日に農芸化学会で発表された効果検証実験の結果において、2つの穀物繊維の同時摂取がもたらす腸内環境改善効果について大きな注目が集まった。
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