標準化と第三者評価制度の活用 JAB25周年記念フォーラム
【講演2】
農林水産省の横田美香氏は「食品安全管理等における第三者認証の活用と今後の展開」について講演。フードチェーンが国際化、複雑化する中で、食品安全や農業の持続可能性などの社会課題解決に向け、商品だけからは見えない価値の透明性を高めるには、規格・認証が有効である。官民が連携して、JFSやGAP認証、水産エコラベル、森林認証等民間認証の活用を進めていくことが重要と指摘。現場の実態を踏まえること、信頼性の確保の重要性にも言及した。
【講演3】
国土交通省の常山修治氏は「国土交通省における国際標準ならびに第三者評価制度の利用」を講演。老朽化が進む社会インフラの最適な維持管理のため、さらには民間資金等を活用するPFIなどを視野に、アセットマネジメント規格ISO55000シリーズ活用の有用性、仙台市での導入事例を紹介。同規格の普及に向けて設立された日本アセットマネジメント協会に言及した。
【講演4】
環境省の小川眞佐子氏は「地球温暖化対策における国際標準と第三者検証制度」の演題で登壇。排出枠取引を伴うASSET(先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業設備補助)や二国間クレジットなど、排出枠取引を伴う事業において排出量算定の信頼性を確保するためのISO14065活用や、気候変動関連のISO規格の開発状況について説明した。
【講演5】
日本臨床衛生検査技師会の宮島喜文氏は「医療における認定制度導入の効果と標準化による臨床検査の品質保証」について講演。国の健康医療戦略が掲げるゲノム医療の推進に向けて、検体検査の精度確保が加える医療法改正がされたことを説明。日本では、まだ少数に限られる臨床検査室の規格ISO15189取得による品質マネジメントシステムの導入意義を強調した。
【講演6】
イオンリテールの岸克樹氏は「イオンにおけるESG認証と国際標準による第三者認証の活用」を報告。自主基準でプライベートブランドのESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮。サプライチェーンのグローバル化に対応した品質管理のため、海外直営農場で国際基準グローバルGAPを取得。食品安全認証スキームを承認するGFSIの理事としてルールづくり参画等の活動に触れた。
【講演7】
旭硝子の遠藤幸雄氏は「戦略的標準化―材料・部材メーカーからの取り組み事例」と題して登壇。自社の創造価値と市場が求める価値をつないで、顧客に継続的に選ばれる仕組みづくりをする戦略的標準化について説明。最近の材料部材は、モノ自体の価値より、社会課題解決や人間工学面でのユースケースにおける価値が重要で、そうした創造価値評価の標準化を目指す取り組みを示した。
【講演8】
経済産業省の藤代尚武氏は「国際標準化と第三者認証の現状と今後の課題について」を講演。標準化の対象が製品の仕様から、性能、生産組織への変遷等に伴う、マネジメントシステム規格(MSS)の位置付けを振り返った。課題では、MSS認証の取得目的を明確にして、認証の意義をサプライチェーンで共有することなどを挙げ、適合性評価制度での認定機関の重要性を訴えた。