標準化と第三者評価制度の活用 JAB25周年記念フォーラム
主催:公益財団法人日本適合性認定協会
後援:日本経済団体連合会、経済産業省、国土交通省、農林水産省、日本マネジメントシステム認証機関協議会
協力:東洋経済新報社
【開会挨拶】
開会でJABの飯塚悦功理事長は「標準化と第三者適合性評価の活用による我が国の産業競争力向上とより良い社会の実現に向け、考察を深めていただければ」とあいさつした。
【来賓挨拶】
経済産業省の末松広行氏は「あらゆるモノやサービスがつながる時代には標準が重要。そのルール作りに関わることも大事」と指摘。ISO幹事引き受けやJISの対象拡大など、国際標準化に対応するための国の取り組みを説明した。
【講演1】
ヤマトホールディングスの金森均氏は「小口保冷配送サービスの国際標準化」について講演。小口保冷配送サービスをアジアで展開する際、日本と違い必ずしも十分な品質のサービスが提供されていない現状を打開し、安心してサービスを利用いただける環境を整えるため、国際規格PAS(公開仕様書)1018を策定した取り組みを説明。「物流事業者のPAS取得が促進されることで健全な市場創出につながる」と述べた。
【トークセッション】
「ルールテイカーからルールメイカーへ」のテーマで議論。モデレーターの経済産業省、高木美香氏は、国際標準の決定プロセスの変化を指摘。「標準は各国で強制規格に引用されており、規制も含めたルール形成戦略が必要」と語った。
産業技術総合研究所の持丸正明氏は、スキージャンプの板の長さの規定変更を例に「ルールに従うだけでは勝てない」として評価軸合意形成をリードすべきと主張。認証戦略の一例に、日本の労働人口減を背景に、徹底して手間をかけるのでなく、顧客との共創価値等を基本にした「おもてなし規格認証」を挙げた。
デロイトトーマツの羽生田慶介氏は、欧米企業のルール形成戦略の事例に言及。新市場創出等により「ルール形成は事業戦略の強力なツールになる」と述べ、官の規制も組み合わせ、民間企業主導の標準や調達ガイドライン戦略で短期に利益を上げられると強調。ルール形成活動が鈍い日本企業のリテラシーの向上を訴えた。金森氏は、ルール策定コストは社内外リソース活用などで「それなりにかかる」と述べ、トップダウンの必要性を示した。
【ショートプレゼン】
JABの藤巻慎二郎氏は「適合性評価制度の解説」を行い、製品・サービス等の評価機関の能力を審査するJABなどの認定機関の役割、海外認定機関との国際相互承認により、同等性を担保された評価が世界で通用する仕組みを説明した。