東京ガスのスペシャリストたちの今 インフラビジネスだけじゃない?!

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

実際、世界のエネルギー業界は今、ダイナミックに変化しようとしている。海外事業開発で競合する相手も手強い企業ばかりだ。

「まず力を注ぐのは、現地企業など有力パートナーとの対話です。巨大な資金力や知見を持つ世界のプレーヤーと競合する中、東京ガスとの提携メリットを説き、いかに説得するかが重要なカギとなります。相手に刺さるプレゼンをして、どうやって戦略的な提携を実現させるのか。また何より、パートナーとの提携後に、実際の協業を通じてどのように事業価値の向上を実現させていくのかが最も重要です」

新規事業創出に挑む非エネ分野のクリエイター

東京ガス
リビングサービス改革プロジェクト部
事業開発グループ
マネージャー
藤原直彦

一方、東京ガスから新しい価値を創造しようと尽力しているのが、リビングサービス改革プロジェクト部グループマネージャーの藤原直彦氏だ。

「エネルギーの自由化が進む中、非エネルギー分野でどのような新規事業を生み出せるのか。東京ガスの総合力を活かしながら、新しいビジネスをクリエイトすることが私の仕事です」

藤原氏は、大学時代にバイオマスエネルギーに興味を持ち、エネルギービジネスに携わりたいと東京ガスを志望した。入社後、研究部門の触媒開発、技術・商品企画などを経て総合企画部に配属。ここでは経済産業省との折衝など畑違いの仕事も経験した。

現在は、最先端のITビジネスから食品、教育といった身近な分野までをターゲットに、新たなサービスを顧客に提供するべく、どんなビジネスに可能性があるのか日々チャンスを捉えようとしている。

「いつもノートを持ち歩いて、事業アイデアを思いついたときにすぐメモできるようにしています。これまで考えた事業アイデアは100本以上。そこから、どんなビジネスモデルに発展させていくのか考えるのが楽しみですね」

藤原氏は、国内外のスタートアップ企業の経営者が集まる場に足を運ぶことも多いという。魅力的なサービスを手掛ける企業とコラボレーションして、新たなビジネスを生み出そうというわけだ。東京ガスのような大企業のリソースを使えば、そうしたサービスを多くの人に届けられる可能性が高まる。こうして事業化の手前であるテストマーケティングにまでこぎつけたサービスに、野菜宅配サービス「Vegee(ベジー)」がある。野菜のことを最もよく知る農家と、旬の採れたて野菜を一緒に選んで、月に一度顧客に届けるものだ。

「思い出深いのは、30代前半、現場でクレーム対応を経験したときです。お客様にご納得いただくには誠心誠意対応することが最も大切。人間性をも問われるような経験をしました。それは、現在の仕事である新規事業にも通じています。事業を始める際は、自信を持って提供できるサービスであることはもちろん、事業の安定性や継続性なども考慮する必要がある。つねにお客様に喜んでいただけるかを第一に考えるようにしています」

東京ガスと聞くと、歴史のある安定企業というイメージが強い。だが、「みんなが考える以上にのびしろがある」と有働氏は話す。しかも、エネルギーの自由化によってチャンスはむしろ拡大しているという。今後、ガス事業で培った強固な顧客基盤と信頼を糧に「新しい価値を提供できる会社になる。そのための挑戦ができる風土が整っている」と藤原氏も続く。

数年後、エネルギーを軸としながらも東京ガスはまったく違った会社に変わっているかもしれない。その変化を楽しめる、前向きさとタフさを持った若手人材を、東京ガスは求めている。