デジタルネイチャー時代を生き抜く3つの力 大学発ベンチャー数国内トップ10の教育力

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杉山知之/デジタルハリウッド大学学長

AI、ビッグデータ、IoTといった新しいIT技術の広がりが、今、私たちの生活に大きな変化をもたらしている。こうした変化の中で生き抜いていくためには、従来の価値観にとらわれない、変化に柔軟に対応できる力が必要になってくるはずだ。早くからこうしたデジタル社会の到来を予測し、株式会社立大学として2004年に設立されたデジタルハリウッド大学。ここで学び、成長した学生たちは、さまざまな道に進んでいる。

デジタル社会で活躍する人材とは

「草創期の卒業生はウェブやCG、ゲーム、アニメなどの分野を中心に活躍していますが、今では多くの卒業生が一般の大企業やベンチャー企業に進むようにもなりました。これは、21世紀のデジタル社会で必要とされる人材を早くから育成してきたからだと考えています。同時に、本学では起業することは当たり前のことであり、学生たちは新しいビジネスアイデアが思い浮かべば、自然と会社をつくるノウハウも身に付けています。先入観にとらわれず、何事にも前向きにチャレンジする。そんな学生が多いと思います」。デジタルハリウッド大学の設立者で学長の杉山知之氏は学生たちについてこう語る。

実際、経済産業省の「2017年度大学発ベンチャー調査」によると、ベンチャー企業の創出数では国内大学として第10位。私立大学の中では第2位となっている。大学の規模から考えれば、おのずとこの順位のすごさがわかるだろう。

起業するうえで、学生たちの武器となっているのが、デジタルコミュニケーション力だ。杉山氏は、「デジタルコミュニケーションとは、『人と人、人とモノなどすべてのコミュニケーションをデジタルで行うこと』であり、そのうえで成り立つデジタルコンテンツづくりを21世紀版の『読み・書き』だと定義すれば、本学のデジタルコミュニケーション学部デジタルコンテンツ学科は、まさにデジタル時代の教養学部になる」と力を込める。

その上で、杉山氏は教養の大切さについてこう語る。

「面白いコンテンツをつくるには、教養が必要です。本学ではデジタル時代に必要なデジタルでの表現能力の習得だけではなく、教養の学びにも力を入れています。学生たちが興味を持てるように、教員たちには、一番面白いところから授業を始めてもらう。たとえば、ギリシア神話の話で、『あのゲームのキャラクターの名前が実は神話に出てくる女神の名前なんだよ』と話せば興味を持つでしょう。興味を持てば、あとは自分で勉強するようになります。大学はその機会を与えるところなのです」

そして、デジタルコミュニケーション、教養に加えデジタルネイチャー時代で重要な武器となるのが、エンターテインメント力だ。そもそもエンターテインメントにはおもてなしの概念が入っており、そこには相手を思いやってつくるという考えが内包されていると杉山氏は言う。

「これから多くの仕事がAIやロボットに置き換わっていく中で、私たち人間は何ができるのか。それは感心させるのではなく、感動させることです。だからこそ、私は学生に『人の心を揺さぶる力、つまり、エンターテインメント力を身に付ける必要がある』と教えています」

杉山氏はキャンパスで学生に接していると、デジタル社会の最先端がここで始まり、目の前で時代が大きく変わっていることを日々、実感できるという。

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