業界メガ再編で変わる10年後の日本 中堅・中小企業M&Aが再編の主役だ

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中堅・中小企業M&A「本当の」成功ノウハウ

今後10年、未来予測の基準となるのは何か。大山敬義氏は、「一つは人口、もう一つは税金だ」と指摘する。

大山 敬義氏/日本M&Aセンター 常務取締役

実は、税制によって将来の国の成り立ちが変わっていく。今後の日本の税制改革のポイントは、人づくり革命と生産性革命にある。特に注目すべきは生産性革命だ。

「今後、政府は生産性を高めるために、積極的に業界再編を進めていく」と大山氏は見ている。

目下、中堅・中小企業では事業承継が深刻な問題となっており、後継ぎのいない会社がこのまま廃業すれば、約22兆円の国富が失われると言われる。そこで今、注目を集めているのがM&Aだ。「今や事業承継のために、M&Aは必要不可欠なものになっている」と大山氏は指摘する。M&Aは”事業承継と発展”の手段であり、買収後はオーナーが変わるだけで、会社はそのまま維持される。社名、所在地、取引先、従業員も、原則変わらないという。「今は、誰もがM&Aのできる時代になった」と大山氏は話す。

ただ、M&Aのきっかけは事業承継でも、その最大の目的は会社の成長にある。それゆえ、ヒト・モノ・カネの中で、最も大事なのは「ヒトの継承だ」という。モノを買うような感覚でM&Aをやると、ほぼ失敗する。ヒトが何よりも大事であり、M&Aは結婚だと考えるべきで、その成功の秘訣は、いいパートナーと一緒になること。M&Aも、互いに相性や価値観が合うことが大事で、外見だけに惑わされてはいけない。

M&Aで成功するには、相互に「シナジー効果」を出せる相手を見つけることが必要だ。ただ、そのためには「良い案件があったら紹介して」という態度ではなく、まず相手企業に何を与えられるかを考え、真剣にラブコールできることが条件になる。「実際にマッチングできる確率は5%ほど。売り手1社に対し100社買い手候補を出して、真剣に検討するのが約20社、そのうち本当に可能性があるのは2社程度」と大山氏は話し、良いM&Aを成約したいと思ったら、1~2年の準備は必要だとした。

M&A成功のコツは、正しい流れで進めること。専門家に任せるべきことは任せ、経営者自らはマインドセットしていく。「最終的には経営者としての覚悟が重要だ」と結んだ。

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