業界メガ再編で変わる10年後の日本 中堅・中小企業M&Aが再編の主役だ

主催:東洋経済新報社
協賛:日本M&Aセンター
出版記念講演
中堅・中小企業のM&A動向から10年後の日本経済が浮かび上がる
~M&Aの専門家・各業界の経営者が予想する10年後~
海外企業の時価総額ランキングがここ10年間入れ替わっているにもかかわらず、日本企業にはほとんど変化が見られない。そのことを裏付けるように多くの日本企業は競争力を失っている。では、どのように競争力を取り戻したらいいのか。
「今、やるべきことはビジネスの多角化ではなく、本業の強化を進めることだ」と渡部恒郎氏は力説する。

日米の企業を比較した場合、専業特化している米企業のほうが営業利益率は高く、その差は約5%。アメリカの著名なプライベート・エクイティ(PE)ファンドのオーナーも「専業特化することが企業の競争力を高める」と主張しており、渡部氏もそれに同意する。
本業を強化した企業のほうが、総合系企業よりも時価総額は高い。新しい産業であるネット業界でも、それは同じである。今、中堅・中小企業に必要なのは本業を見つめ直すことであり、イノベーションによって本業のコンセプトを変えていくことで、「事業を進化させる」ことが可能になる。事業を進化させるうえで、業界全体で協調する必要性も指摘する。
たとえば、1990年代、メジャーリーグと日本プロ野球の総売上は約1500億円程度で同等であった。野球というコンテンツには変化がないにもかかわらず、メジャーリーグだけが急成長を遂げ、現在では5倍以上の差がついている。メジャーリーグでは、業界全体が成長するために、球団間の垣根を取り払い、放映権やネット配信などで球団同士が手を組む経営戦略を選択して成功した。今や選手の平均年俸は10倍の差となった。企業や業界における古くからの慣習を打ち破ることによって、コンテンツが大きく変わらなくても、事業を進化させられるのだ。