投資家のため真に必要な情報提供をサポート 「セカンド・オピニオン」は医療だけじゃない
投資信託の評価会社、モーニングスターが今年、20周年を迎える。投資が資産形成の手段として定着していく中で、同社は、個人が投資の判断材料にするための客観的な評価情報の提供を通じた「投資家主権の確立」と、着実な資産形成のための分散投資の啓蒙といった投資環境の整備に一貫して取り組んできた。地道な積み重ねが築いた信頼のブランド「モーニングスター」は、節目の年を迎え、さらなる飛躍を期している。
投資信託の草創期から適切な資産形成を啓蒙
モーニングスターの設立は、日本で投資信託(投信)の銀行窓口販売が解禁された1998年。当時の日本では、金融業界関係者を除く、一般投資家には、ほとんど無名の存在だった。朝倉智也社長は「これから日本でも投資信託が伸びると信じていましたが、当初は投資信託について知りたいという人も少なく、大きな会場で投信セミナーを開催しても参加者が数十人しか集まらず、私自身も会場の最寄り駅でチラシを配っていました」と振り返る。
当時、個人投資家と言えば、まだ一部の〝投資家〟による日本株の個別銘柄の投機的売買が中心だった。リスクを抑えるため、債券など幅広い資産クラスへの分散投資、海外も含めた国際分散投資といった、今の標準的な投資手法にはほど遠い状況で、分散投資を実現するための投信の認知度も低かった。そんな中、モーニングスターは、日本に健全な資産形成の考え方を根付かせ、投信市場を拡大しようと、インターネットや対面セミナーなどを通じて、安定的に資産を積み上げる適切な投資のあり方を啓蒙してきた。
投資家主権の理念で信頼のブランドを確立
証券会社や銀行の営業担当者の努力にこうした啓蒙活動も加わり、投信は普及した。現在、国内で約6000本もの投資信託が存在している。そこで個人が適切に投資対象を絞り込むには、同社の理念でもある「投資家主権の確立」が必要になる。