「じぶん銀行」を成功に導いたこだわり 金融を変えたデジタル変革

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「相棒のような存在」を目指すじぶん銀行の”こだわり”

―― コンセプトである「手のひらの上の銀行」を実現するために、どのようなことを意識されたのですか。

「手のひらの上の銀行」というコンセプトを実現するにあたって、われわれが目指すのは、いつもお客さまの傍にいる心地よい存在、つまりは「相棒のような存在」です。「相棒のような存在」になるために、「お客さま視点の追求」「リアルの延長でビジネスを考えない」「共創によるチャレンジ」という3つの”こだわり”があります。

―― それぞれのこだわりについて、詳しく教えてください。

まず、お客さまの相棒として傍においてもらうためには、変化し続けるお客さまのニーズに寄り添っていくこと、つまり「お客さま視点の追求」が何よりの出発点だと思います。というのも、これまでも技術革新とともにお客さまのニーズは変化していきましたが、スマートフォンの出現以降、お客さまのニーズが変化していくスピードが劇的に早くなり、かつ多様化しています。

金融の世界でいえば、フィーチャーフォンで残高確認と振り込みさえできればよいというような状況だったのが、あらゆる情報がスマートフォン上で処理できることによって、さまざまな新しいニーズが生まれてきました。

たとえばスマートフォン上で為替情報も確認したい、さらにその情報をもとにスマートフォン上で取引まで済ませたい、しかもその結果をすぐにスマートフォン上で把握したいというように、次々と新たなニーズが生まれてきています。

お客さまにとって「相棒のような存在」になるために、じぶん銀行には「3つのこだわり」があると話す

それに対し、じぶん銀行はいち早く「スマホ銀行」を標榜し、スマートフォンでのサービスを最適化することでめまぐるしく変化するお客さまのニーズに応えてきました。世界的にも参考とすべき先例がなく、手探りの取り組みの連続でしたが、今ではスマートフォンで口座開設から住宅ローンまですべての取引が行えるようになりました。

さらにわれわれは、デジタルからスタートしているからこそ、「リアルの延長でビジネスを考えない」ということは意識しているポイントです。既存の銀行は、新しい商品・サービスの提供を開始する際に、過去のアセットや取引体系も考慮しなければならず、必ずしもお客さまのニーズに合わないことも出てくることがあります。

たとえば住宅ローンを借りる際、既存の銀行では何度も店舗に足を運んで手続きを行う必要があります。しかし、じぶん銀行ではリアルの枠組みにとらわれる必要がないため、夜間・休日を問わずにスマートフォンだけで手続きが完了するという、お客さまが本当に求めているサービスを提供することができるのです。

また、デジタルだけでビジネスが完結するため、新しいサービスを創り上げる際、コストも安く、時間も短いうえ、失敗してもすぐに軌道修正することができます。「リアルの延長でビジネスを考えない」ということは、われわれの強みとして強く意識しています。

―― スマートフォンというテクノロジーとサービスへのこだわり、まさにKDDIならではの強みでもありますね。

最後に「共創によるチャレンジ」として意識しているのは、金融取引の自由化に先んじて新たなネットバンクの立ち上げに挑戦した三菱東京UFJ銀行様と、モバイル事業を中核に置きながらも、ライフデザイン企業としてお客さまに寄り添ったサービスの提供を目指すKDDIの思想をうまく掛け合わせることです。

単なる新しい金融機関を創り上げるということではなく、ライフデザイン企業を目指すKDDIが提供する保険や通販、電気などさまざまなサービスと組み合わせてじぶん銀行を提供することで、継続的にお客さまとのタッチポイントを確保し、お客さまの生活の中でさらなる価値を生み出せると考えています。

これら3つの”こだわり”をもって、まさに「相棒のような存在」を目指していったわけです。

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