キレイ事じゃない!「平和学」研究の実態

机上論で未来は拓けない、現実に目を凝らせ

――国際平和学を学ぶには、幅広い分野の知識が必要ですね。

エマニエル:はい。現代社会が抱えている課題は、数多くの要素が複雑に絡まり合っていますから、領域を横断したアプローチが不可欠です。特に平和を考えるならば、社会科学、人類学、歴史学、政治学、哲学などが必須になりますね。学生はこれまで社会学、哲学、法学をはじめ幅広い学問を学んできており、しかも大半はジャーナリスト、教師、公務員などとしての勤務経験を持っている。多様な視点がもたらされ、良い刺激になるでしょうね。

小出:平和学は、理論ではなく、世界に実在する課題や問題からスタートするものだと私は考えています。学生には、どのように問題を捉え、解決策を考えるのかという視点が求められますね。在学中のインターンシップでも、より実務的な経験をできるように準備しています。卒業後には、国際機関で働くことを志望している学生が多いようです。狭き門ですが、十分に可能性はあると思っています。

国家と非国家、両方の視点で平和に向き合う

エマニエル:国際的な対立の解決を考えるとき、2つのアプローチが必要になります。1つは「国家」という枠組みからのアプローチ、もう1つは非政府組織や民間の力によるアプローチです。国家だけでは、規模が大きすぎたり立場上の問題があってうまくいかないこともある。その時こそ別の勢力が重大な役割を果たすのです。国家と非国家、この2つの視点は切っても切り離せないものだと考えています。

――日本、特に創価大学で平和について学ぶ意義はどうお考えですか?

エマニエル:たとえば南スーダンの内戦などもそうですが、これまでも日本はさまざまな局面で「平和」に対して重要な役割を担ってきました。国際的な大舞台でも地域的組織でも重要な役割を担う日本で、平和について学ぶ意義は非常に大きいですよね。今後日本が国際社会でどんな役割を担っていくのか、まだ見えない部分もありますが、とても重要なポジションであることは確かです。

小出:日本では、大学院レベルで国際平和学を学べる教育機関はまだまだ少ない。本学には、建学の精神に「人類の平和を守るフォートレス(要塞)たれ」という言葉があります。創価大学で学ぶことの意義は、この「人類的視点」を持てること、それを軸としたプログラムが組まれていることだと思います。
 たとえば環境問題を考えるとき、一企業や一国の利益を追求するわけにはいきません。しかし全体の利益だけに焦点を当てても、現実の社会では競争に負けてしまう。そうしたジレンマを乗り越える「創造力」の獲得を、このプログラムの目的にしたいですね。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

エマニエル:平和学とは何か、また紛争や対立はどう解決していくべきか、といったことをこのコースでじっくり学びましょう。難しい課題や挑戦も多いけれど、やりがいがあるはずです。

小出:国際教養学部の発足から4年、多くの留学生を迎え、そして英語での授業やディスカッションを進めてきました。学生たちの声に多いのが「まるで留学しているみたい」という感想でしたが、大学院では、学生のバックグラウンドがさらに多様になります。教員も学生も、国際的に通用する環境で学べる革新的なプログラムになっていますので、ぜひ期待していただきたいですね。