金融領域のビジネスモデル創造 デジタルエコシステム構築が引き起こす連鎖

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【特別講演】
「三井住友フィナンシャルグループのデジタライゼーションの取り組み」

三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)取締役 執行役専務 グループCIO
谷崎勝教氏

SMFGの谷崎勝教氏は「FinTechで金融とITの業界間の垣根が下がり、協業が当然になる」という見通しを示し、新たな価値提供のために、スタートアップ企業と連携して「オープンイノベーションを促進し、エコシステムを構築する必要がある」と述べた。SMFGは、米シリコンバレーにデジタル・イノベーション・ラボを設けて、現地スタートアップとのネットワークを強化。

国内では、渋谷にオープンイノベーション拠点「hoops link tokyo(フープス・リンク・トーキョー)」を置き、毎月15~20件のワークショップ等のイベントを開催して、アイデアの発掘、育成に取り組んでいる。

また、デジタライゼーションの具体化も加速。昨年4月にリニューアル・オープンした銀座支店を手始めに、完全ペーパーレス・印鑑レスを実現した新型店舗を展開して顧客利便性を向上。指紋、声、顔などによる認証サービスを提供する生体認証プラットフォーム会社Polarifyを立ち上げ、自行のスマホアプリに加え、オンラインサービス事業者への展開を図るなど、新規ビジネスに進出した。

また、クラウドによるいつでもどこでも業務可能な次世代ワークプレイス、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使った生産性向上、データを活用した経営判断インフラの高度化も推進。「2020年に向けてグループ全体で、どこまで変われるか、チャレンジしたい」と語った。

【ソリューション講演】
「金融デジタルプラットフォームの構築」
~エンタープライズ・コンテナとハイブリッド・クラウドによるイノベーションを創出する基盤とは~

レッドハット
テクニカルセールス本部 パートナーソリューションアーキテクト部 部長
河野恭之氏

レッドハットの河野恭之氏は、オープンソースソフトウエア(OSS)のプロジェクトコミュニティに参加し、企業が使えるOSSを育て、提供する同社ビジネスを紹介。エンタープライズOS、IaaS基盤、コンテナ基盤「Red Hat OpenShift Container Platform」など幅広い製品群を用意して、オンプレミス、パブリック/プライベート・クラウドの環境を一つに束ねる次世代エンタープライズシステム基盤「オープンハイブリッドクラウド」のビジョンを説明した。

注目のコンテナ技術は、実行に必要なすべてのファイルをパッケージ化して、複数の環境の間に簡単に移行できるようにするもの。従来の仮想化技術と違い、OS等から切り離されているので軽く、配布も容易になり、早く、簡単にアプリケーションを制作する基盤として、多くの金融機関が導入している。同社はこの新たな基盤導入のコンサルも提供。「キーマンを集めたワークショップで課題やゴールの設定から一緒に考えます」と呼びかけた。

野村総合研究所(NRI)
証券ソリューション事業本部 証券ソリューション事業四部 営業担当課長
高島敬幸氏

NRIの高島敬幸氏は、金融業界のITニーズについて、経営戦略に直結したビジネスITが中心だが、将来の見通しが難しいので小さな投資から始められるソリューションが求められると分析。短期開発、固定費削減、柔軟性などの要件を満たすため、高密度で効率的にシェアするインフラのコンセプトを検討した。

その基盤として、OSに依存せず、どこでも稼働できるコンテナ技術を活用。開発環境から本番環境にそのまま移行でき、テスト削減も可能とした。レッドハットのコンテナ基盤「OpenShift」は、コンテナを稼働させる環境設計が含まれ、国内サポートも充実といったメリットから採用したと説明。「今後、短期開発が加速する中で『どこでも動くサービス』は必須の流れ」と語った。

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