
NTTデータ テレコム・ユーティリティ事業本部 ビジネス企画室課長代理
鈴木(NTTデータ) ロボティクスは少し前からブームを迎えていますが、最近ではスマートスピーカーが普及し始めるなど、人とデバイスのコミュニケーションの形が確実かつ急速に変化してきています。企業も、社会の課題解決にロボットを役立てようと本腰を入れて動き出しています。こうした流れに、当社が蓄積してきたノウハウを活かしたいと考えて、今回実証実験をするに至りました。
塩谷(三井不動産) 昨今、AI、IoT、ロボット等のデジタル技術の進化は目覚ましいものがあります。我々はそれらがもたらす不動産の変質をいち早くとらえて手を打っていく必要があり、社内ではさまざまなデジタル技術を活用した実証実験を進めています。
三井不動産
ITイノベーション部 開発グループ長
ロボット領域では、今後の人材不足等を見据えた活用を進めており、ロジスティクス分野ではMFLP船橋にMFLP ICT LABOを開設し、物流業務の効率化・省力化等に資する先進的なICT関連製品を紹介しています。また、商業施設においては、ダイバーシティ東京プラザにて店舗案内サービスの実証実験や清掃ロボの導入に取り組んでいます。
今回の実証実験は、コミュニケーションロボットがお客様の性別、年代、目的に応じた店舗を提案するというもので、マーケティング領域への活用を探る新たな取り組みです。
一人ひとりに合わせた提案で「共感」を引き出す
鈴木 具体的には、ラゾーナ川崎プラザ内の10カ所にコミュニケーションロボット「Sota」を設置します。お客様がスタートボタンを押すと、Sotaが性別や年齢層を推定。さらに来場目的を質問して、得られた情報をもとに、ラゾーナ川崎プラザに入っている約300以上の店舗から、おすすめの買い回り先4店を導き出して提案します。
今までロボットと人の対話は、家庭などの閉じた空間で、ロボット側は1台というのが一般的でした。公の場所で、しかも複数台を連携させるのは、当社としても新しい試みです。
山田(三井不動産) たとえば、「20代女性、洋服の購入が目的」なら、子ども服ブランドや壮年向けの落ち着いた店舗よりも、流行を取り入れたファッションブランドが嗜好に合う可能性が高い。お客様一人ひとりの属性に合った提案を行うことで、今まで気づかずに通り過ぎていた店舗への来店を促し、回遊・購買の促進につなげることが狙いです。
「Sota」がこちら。可愛らしいデザインで親近感を生む。顧客にとっても、自分に合った提案をしてもらえる「特別感」が魅力的だ
三井不動産 ITイノベーション部 開発グループ 主事
髙田(三井不動産) 商業施設でお客様に有意義にお過ごしいただくためには、店舗や商品の紹介もさることながら、お客様とのやり取りも非常に重要です。そうした中で、非常に多くの方が来られるラゾーナ川崎プラザにおいて、コミュニケーションロボットがお客様の行動等にどのような影響を与えるのかを知り、ロボット活用のあるべき姿を見極めたいと思っています。
鈴木 ラゾーナ川崎プラザには約330もの店舗があり、キャンペーン情報など積極的に発信されています。一方で、チラシや広告では出てこない、店員様や常連のお客様しか知らない情報などと合わせて提供することで、お客様は新たな気付きからさらなる共感につながると考えています。
10台のSotaが情報連携し、顧客と継続的に関係を築く
鈴木 この実証実験では、10台のSotaを連携させることで、お客様と接するSotaが「このお客様は30代男性、ここが2カ所目」といった情報を把握できるようにしました。お客様が買い回り先の近くのSotaにカードをかざすと、「もう2カ所目なんだ! 僕のおすすめしたお店に行けた?」と対話が始まる。その場限りや一回限りではなく、お客様とSotaとの継続的なコミュニケーションが可能になるのです。
髙田 Sotaを情報連携させることもそうですが、重要なのはお客様に共感いただける新たな体験を提供できるかどうかです。キャンペーンや商品情報を伝えるだけなら音声対話や画面表示でも可能ですが、Sotaとはあたかも感情があるかのような会話のやりとりができる。さらにSotaの声やしぐさといった、非言語コミュニケーションにも期待です。こういった点は、まさにロボットならではの価値ではないかと思います。
三井不動産 ITイノベーション部
開発グループ 専門役
山田 また、実際に店舗に来た人しか知らない情報を伝えたいですね。そのために、各テナントからもアンケートを取るなどして、シナリオの中身を磨いています。さらに、今回はSotaが最初に買い回りを提案する際、QRコードが印刷されたカードを発券します。お客様にはそれを持って館内を回っていただく、いわばスタンプラ リーのような仕掛けです。
ますます広がる、コミュニケーションロボットの可能性
塩谷 今回の実証実験における結果を踏まえて、本サービスの進化の可能性を探ります。たとえば、今度は店舗にご協力いただいて、接客業務への活用やオススメ内容の進化を模索することです。また、当社商業施設のスマホアプリである三井ショッピングパークアプリや昨年11月にオープンしたファッションECである「&mall」とも連携していきたい。これらにより、リアルとデジタルの融合を推し進め、商業施設でのお客様の体験を進化させていきたいと考えています。
鈴木 三井不動産様は商業施設のほかにも、オフィスや住宅、ホテルなど幅広く施設を保有されています。いずれも、“人と人の接点”が生まれる場所。今回の実証実験を皮切りに、多くの施設でコミュニケーションロボットが活用されるようになればと期待しています。
