
世界から注目を集めている中国の「シェア自転車」。このサービスが成功を収めている理由のひとつに、「信用スコア」がある。
これは、さまざまなデータを計算し、個人の持つ信用度を数値化したもの。世界では日本よりも一歩先に、信用スコアを導入し、さまざまなサービスがスタートしている。
スコアを上げると「いいこと」がある
たとえば、アメリカではクレジットカードの支払履歴や借入残高の利用実態から、スコアを算出し、ローンの借り入れやクレジットカードの利用可能額の増加などの参考にするサービスが市民に根付いている。中国でもビッグデータから各人の信用度を数字で算出するサービスが浸透し、この数字を何とか上げようと四苦八苦している人も多いという。
冒頭の中国のシェア自転車は、乗りたいところで乗り、降りたいところで乗り捨てることができる(もちろん指定の駐輪場間において、である)。空き自転車の検索から、解錠、施錠まではすべてスマホひとつで可能だが、その際に、利用者の信用スコアがチェックされている。
借りた自転車を放置しようものなら、スコアが下がり、次回の利用に支障を来たすことになる。スコアの低い人は利用の際にデポジットを徴収されたり、一定以上低い場合はサービスの利用自体が不可能になったりすることもある。
一方でスコアの高い人は、シェア自転車をデポジット不要で利用できるばかりでなく、他のサービスも受けられる。空港での優先ゲートの利用、不動産賃貸の敷金免除、さらには特定の国のビザまで取りやすくなるというのだ。
そんな中、日本でもスコアのサービスが始まっている。
「AIスコア」がそれだ。みずほ銀行とソフトバンクが、話題のフィンテックを駆使したサービスを提供するために、ベンチャー企業の「J.Score」を共同出資して設立。2017年9月25日からサービスを開始した。
「AIスコア」の特徴は、サービス名称の一部でもあるように、ビッグデータ、AI技術を利用して「スコア」を算出していること。そして算出された「AIスコア」をもとに、最適な融資条件を提示する「AIスコア・レンディング」を提供している。
従来の個人向け融資では、主に現在の収入をもとに信用力が審査され、融資の条件が決められる。これに対して「AIスコア・レンディング」では、その時点の信用力にプラスして、将来の可能性を予測してスコアに組み入れている。そしてスコアが高い人はよりよい条件(融資額、金利)で、融資を受けられるという仕組みになっている。
「ステップアップするために留学したい」「キャリアアップのために資格を取りたい」と、自己実現のために投資をしたい社会人は多いが、資金が貯まるまでに時間がかかったり、金融機関を利用しても希望する額が準備できなかったりする。そんな前向きなチャレンジを後押しするサービスを目指している。
さっそくAIスコアにチャレンジ
説明を読むよりもやったほうが早いかもしれない。まず、スマホでAIスコアのアカウント作成ページにアクセスしていただきたい。
トップ画面からメールアドレスを入力してアカウントを作成する。ここでは氏名や住所といった個人を特定する情報は不要で、ニックネーム、性別、生年月、最終学歴、大まかな年収など、18問の基本的な情報をチャット形式で答えるだけ。ここまでで所要時間はたったの1~2分程度。必要なのはメールアドレスのみだ。質問に答えると1000点を上限とする「AIスコア」が画面上に表示される。
この時点でも借入額の算出は可能で、「100万円で金利◯%」と、条件が提示される。しかし、アカウント開設直後の入力状況はまだ5%。ここからさらに入力画面に進んで〈生活〉〈性格〉〈ファイナンス〉〈情報連携〉〈ウォレット〉〈プロフィール〉のカテゴリーに設けられている質問に答えていく。
東洋経済オンライン読者の田中耕介さんにアカウントを開設してもらうと、スコアが865、貸付利率4.9%、契約極度額260万円という数値が出てきた。
(仮名、1978年8月生まれ 39歳・男性、年収780万)
神奈川県逗子市の一戸建てに妻、子ども2人と暮らす。仕事は都内の大手化粧品メーカーでの営業。休日は子どもと過ごしながら、趣味のサップを楽しむ。
ここまでで情報の入力状況は5%だが、追加で45%まで入力すると、スコアは887にアップ。契約極度額はそのままだが、貸付利率も4.5%へと下がった。「入力して数字が良くなるとうれしくなる」とは田中さん。いくつになっても、自分のことを肯定してもらえれば悪い気はしないということか。
また、みずほ銀行の口座や通信キャリアのソフトバンクを利用していれば情報連携に同意することでそれぞれ金利が0.1%下がるのでおすすめだ。
スコアを利用したさらなるサービスも期待
「お金を借りるために審査を受ける」と思うと、心理的なハードルは高くなるが、「借りたいから答える」のではなく、まずは「AIスコアを算出する」「自分の将来の可能性を確認する」ことからスタートしよう。何かを始めるきっかけ、またはライフスタイルや将来設計を見直すいいきっかけになるかもしれない。
アカウントを登録する前に、5つの質問に答えることでAIスコアをシミュレーションする「デモスコア体験」から始めてみるのもいい。
今後はこの「AIスコア」を活用した新しいビジネスにつなげていくといったサービスもリリース予定とのこと。アメリカや中国のように、このスコアで暮らしやすさが変わる未来もすぐそこかもしれない。