働き方改革を早帰り施策だけで終わらせない 「プレ金」1周年、パーソルの決意

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パーソルグループは、そうした社会を見据えた取り組みを自らも実践し、顧客の改革を支援。水田氏は、パーソルグループそのものが人や組織の成長を促す働き方改革のショールームになると宣言する。

たとえば、パーソルグループが全社員向けに行っている、社員の主体的な変化・成長を後押しするためのユニークな公募型研修もその取り組みの一つ。NPO団体と協業して社会課題の解決に挑む実践型研修や、地域を舞台にした研修、アートを通じて学ぶ、対話型美術鑑賞ゼミ、演劇ゼミ、レゴゼミといったプログラムを用意しており、これまでにグループ内で総勢700名以上が受講した。

NPO団体と協業して訪日外国人向け情報発信をメディア・コンテンツ強化で支援
長野県の木曽町を舞台にした2泊3日のプログラム。初対面の方とチームを組み、新たなアイデアやアクションを生み出す

「何よりも、社員に多様な機会を提供するのが目的です。いわゆる『正解』をインプットするだけではなく、体験を通じて自ら気づき、学ぶ。課題解決型ワークショップでは何も与えられていない状態で現地に入り、異なる職場の仲間と一緒にチームを組んで地元の人とも連携しながら普段の業務では経験しないようなことに挑戦し、自分たちで考え、課題を解決していく。その過程でいろいろな人と交わり、価値観の違う人のことも理解し尊重することも学んでいくのです。当社の事業は、人を理解し、共感し、尊重しなければ成り立ちません。その意味でもこうした研修は非常に有意義なものと考えています」(水田氏)

アイマスクをしている者にアート作品を説明する「ブラインドトーク」を実施。同じものをみても価値観によって捉え方が異なることを体感

社会環境の変化が激しい今の時代、社会のニーズや課題も複雑化しており、これまでの常識ややり方だけでは期待に応えられない。そんな中、誰かに正解を求めたり、前例に捉われたりすることなく、自ら最適な答えを導き出し、他者と共創しながら行動していく力を育んでいる。

さらに半期に1度、自分がしたい仕事への異動を申請するキャリアチャレンジ制度もある。必ずしも希望の職場に異動できるわけではないものの、さまざまな業務やポジションを経験することで、多様な価値観の育成、成長の機会を与えることが狙いだ。

育休中の社員が考案した「ママボラン」サービスも開始

パーソルの働き方改革は、グループ内だけにとどまらない。パーソルには、新規事業を社員が起案できる社内新規事業プログラム「0to1」が存在する。新規事業のプランを作成し、プレゼンの後、最終審査をパスすると事業化される。多様な働き方を実践する社員が、自身の経験などから、それを還元してサービス化された例もある。

仕事の目標を見失いがちな育児休業の復帰後に向けて、事前にイメージを持つ
ママボランで開催したセミナーでは3人1組のワークショップ形式で「復職して半年後」の目標を作成

育休中の女性を対象としたキャリア支援サービスの「ママボラン」は育休中の女性が、自分のスキルや経験を生かし、他社からボランティアとして仕事を請け負うことで、育休中の不安を自信へと変えてほしいという狙いを持つ。

「当社の女性社員が育休中に感じていた、うまく職場復帰できるだろうかという不安がもとになったアイデアで、実際に育休をとっていた当事者だったからこそ生まれたサービスです。世の中には不安や不満を抱えながら育児と仕事の両立に奮闘している方がたくさんいて、そんな方々を応援していきたいと思っています」と水田氏。多様な人材による、多様な働き方をつくる事業はまだまだ列挙できる。

たとえば、育児や介護などの事情で就業時間に制約がある人を対象に、都心へ通勤することなく職住近接で働ける「ジョブシェアセンター」を開設したり、必要な人材像の明確化や適切な人材配置などを支援する「ピープルアナリティクス」サービスを企業向けに提供したりもしている。多様な人が多様な働き方を選択でき、またそれが働く人と組織の成長につながるようなソリューションを目指す。

限られた時間や日数での就業も可能な「ジョブシェアセンター」、働きながら学べる機会も提供

「一人ひとりが自分の価値観の中で、やりがいのある働き方をすることが一番の幸せにつながりますし、そうした働き方ができれば生きがいにもなります。生き生きと働く人が増えれば増えるほど、生産性も上がるのではないでしょうか。社会も活性化していくと信じています。当社が目指しているのは、多様性のある働き方ができる環境をつくり、社会でなくてはならない存在となることですから」(水田氏)

パーソルとは、人(パーソン)の成長を通じて社会の課題を解決する(ソリューション)という意味を込めた造語だという。人々が自分の価値観に応じた働き方を選択し、企業も多彩な選択肢を理解し認め合う。「そうした意味での豊かな社会の実現を目指して、これからも人や企業に徹底的に寄り添っていきます」と水田氏は力強く結んだ。