アプリで顧客に近づく 究極のモバイルマーケティング
ディスカッションI
ヤプリトーーク!
企業アプリの立役者が集結!
赤裸々に繰り広げられるアプリトーク
エスニックファッションのチチカカ、松崎宣博氏は、ECサイトでの売り上げの85%がスマートフォンなのに、ウェブしかないのは不十分としてアプリを導入。ダウンロード数は、まだ計画の3分の1だが、売り上げは目標額の115%を達成し「今後が楽しみ」と話した。
スポーツサプリのオウンドメディアにアプリを使う味の素、工藤剛氏は、スポーツ大会でサンプル配布と引き換えにアプリをダウンロードしてもらう施策を紹介。「導入しなければ評価もできない。ツールを持ったことで次にどう戦うかを考えられる」と述べた。
アパレルのジュングループ、坂井拓郎氏は、アプリ導入でブランドサイトのPVが2倍になる効果があったと説明。アプリで会員情報を連携した顧客のリピート率が圧倒的に高く「エンゲージメント向上のために、連携を重視している」と語った。
サンリオエンターテイメントの志賀優子氏は、アプリの活用は10~20代中心で、SNSとは属性が異なり、来場者数重視で運用しているとした。あまり多くの部署がかかわると要件定義が膨らみ、費用対効果が合わなくなるおそれも指摘した。
カワサキモータースジャパンの三木郁夫氏は、コアなバイク好き向けのイメージを大切にしつつ、初心者の顧客獲得にも幅を広げようと、若手中心にプロジェクトを推進。「親会社からもアプリを活用してPRを、と連絡がくるようになった」と語った。
ファッションブランドのケイト・スペード ジャパン、国分純子氏は、メールという流入チャネルの顧客年齢層が上がったことや、メール開封率低下を受けてアプリを検討。「いろいろなことができるが、EC売り上げ比率に絞って目標を明確にしたことで、取り組みの正しさも認識できる」と述べた。
ディスカッションII
顧客接点の創出からはじまる、
「究極」のマーケティング
新モバイル世代は、何を求めているのか?
世の中を沸騰させるコンテンツ、ストーリーの創り方
【モデレーター】東洋経済新報社 編集委員 福井 純
愛知ドビーの土方邦裕氏と智晴氏の兄弟は、債務超過だった同社に入社して経営を再建したものの「図面通り、納期通りと、コストダウンの話しかしない下請けでは成長を期待できない」として、「世界一、素材本来の味を引き出すこと」を目指し、密閉性の高い鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」を開発、ヒットさせた経緯を説明。
「開発にあたっては、水を一滴も加えない無水カレーのレシピが先にあった」と振り返った。当初は、ブロガーや料理研究家らに使ってもらい、良いことも悪いことも広がるSNSの口コミを活用。モバイル・コミュニケーションの中で「正直マーケティング」で認知を拡大した。自社サイトへのレシピ投稿などにも注力し「購入後に楽しんでもらうことも大切」と語った。
博報堂ケトルの木村健太郎氏は「レシピ発想からのプロダクト開発はモバイル時代らしくてよいと思った」と感想を述べた。
この10年のモバイル化の本質は「ユーザーに主導権が渡り、今までできなかった情報収集が可能になったことがポイント」と指摘。それに対する送り手のアプローチは、人や状況によって対応を変えるフレキシビリティと、ぴったりの「時・場所」に情報を届けるレリバンシーが重要として、SNSでとらえた世の中のイライラ度に応じチョコレート菓子の価格を一日に100回以上変える仕組み、検索語に合わせてバナーを変える仕組み等を紹介。
「買った後の顧客を大事にするのも、所有から使用へ、という今の時代を反映している。そこでの主役メディアはモバイルになるはず」と語った。