日銀、金融政策と経済・物価見通し据え置き 予想物価上昇率は「横ばい圏内」に引き上げ
[東京 23日 ロイター] - 日銀は23日の金融政策決定会合で短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和の維持を賛成多数で決めた。引き続き片岡剛士審議委員が現行政策の維持に反対した。
同時に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、経済成長率、消費者物価の19年度までの見通しをいずれも据え置いた。物価2%の到達時期も19年度ごろに維持。予想物価上昇率について「横ばい圏内」に判断を引き上げた。
現行政策の維持は賛成8票、反対1票で決まった。国債買い入れについても、保有残高を年間約80兆円増加させるとの「めど」を引き続き明記した。
政策維持に反対票を投じた片岡委員は、前回会合に続いて「消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると、18年度中に物価安定の目標を達成することが望ましい」とし、「10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買い入れを行うことが適当」と理由を説明した。
また、片岡委員は「オーバーシュート型コミットメント」を強化する観点から、国内要因で物価安定目標の達成時期が後ずれする場合には「追加緩和手段を講じることが適当」とも引き続き主張した。
会合では、貸出増加支援と成長基盤強化支援のための貸出支援制度のほか、被災地金融機関を支援するための資金供給制度について、受付期間の1年延長を全員一致で決めた。
展望リポートでは、実質国内総生産(GDP)と消費者物価(生鮮食品を除く、コアCPI)の見通しについて、17、18、19年度のいずれも据え置き、物価が目標とする2%に達する時期も「19年度ごろになる可能性が高い」との見方を維持した。
経済・物価の先行きリスクは、経済が「おおむね上下にバランスしている」ものの、物価は「中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きい」との見方を引き続き示した。
物価は需給ギャップの改善継続や、中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に「プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていく」との判断を維持。予想物価上昇率は「横ばい圏内で推移している」とし、これまでの「弱含みの局面が続いている」との判断を上方修正した。
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