デジタル時代における出版社・編集者の真価

東洋経済オンライン メディア戦略セミナー

紙媒体離れが加速し、デジタルメディアが勢いづく一方、フェイクニュースなどにより、そのコンテンツに対する信頼性は揺らいでいる。そうした時代に、出版社、編集者の役割・意義を考える「メディア戦略セミナー」が2017年12月、東京・港区で開かれた。会場は、新たな道筋を模索するメディア関係者ら約500人で埋まり、登壇者が、今後のメディアの方向性や本質などについて議論した。
主催:東洋経済新報社
ゴールドスポンサー:セールスフォース・ドットコム
ロゴスポンサー:アクセンチュア、シー・エヌ・エス、シャノン、日本ビジネスプレス、ヤマノ印刷

主催者挨拶

東洋経済オンライン
編集長
山田 俊浩

開会で、東洋経済オンラインの山田俊浩・編集長は、ネットメディアの信憑性が問われた2016年末のWELQ(ウェルク)問題やフェイクニュースの拡散を振り返り、「デジタル、AIの時代だからこそ人間力、編集者の真価が問われると思う」とあいさつした。

スペシャルディスカッションI
ネットメディアは2018年にどう進化するのか

BuzzFeed Japan
創刊編集長
古田 大輔氏

パネルディスカッションIは、ネットメディア編集長4人が2017年を振り返り、18年の展望を語った。

バズフィードの古田大輔氏は、SNSでライブ配信できるペリスコープ等の流行を受け、総選挙ライブ配信など動画に注力し「訴求力は大きくなった」と説明。医療分野などで信頼性の高い記事を発信する一方、信頼できない情報のチェックにも注力し、若い女性向け特集など、硬軟のバランスに配慮してきた。18年以降は、5Gに向けて動画利用の拡大が見込まれるが、配信できるメディアは限られるので、メディア間の合従連衡が複雑化するとして「魅力あるコンテンツを、どのフォーマットでどこに出すかを真剣に考えなければならない」と語った。

ハフポスト
日本版編集長
竹下 隆一郎氏

ハフポストの竹下隆一郎氏は「米のネットメディアのやんちゃさと、オールドメディアの確かさのハイブリッドが2018年のメディアの姿ではないか」と述べた。17年は、PVを追求し、ニュースに追いかけられるのではなく、自分の言葉でリアルな問題を語ろうと社内に宣言し、女性の体、家族の形、性暴力などをテーマに、一人称で書く記事を強化。社会ニーズをよく知る企業とも、立場の違いを守って協業すれば、面白いコンテンツができる、として「両者の関係を強めることで、メディアは問題提起、批判ばかりでなく、社会を変えられる」と期待した。

現代ビジネス
編集長
阪上 大葉氏

現代ビジネスの阪上大葉氏は、雑誌の減少で優秀な書き手が書く場が減っていると危機感を示し、デジタルの連載の書籍化、頻発する地面師詐欺事件など独自の調査報道強化、ここだけでしか読めない新たな書き手のプロデュース、の3点がメディアの価値を高めるとして「出版社系メディアが強みを持つ部分に資源を投入すべき」と述べた。18年以降は、雑誌からのウェブ参入で「ウェブメディア戦争」が起き、メディア間の記事、スペースの貸借も進むと予測。「24時間の消耗戦を避け、疲弊せずに生き残る方法を皆さんと考えたい」と呼びかけた。

Yahoo!JAPAN
メディアチーフエディター
岡田 聡氏

ヤフーの岡田聡氏は、ニュース動画の24時間ライブ配信など映像領域強化の取り組みに触れ、今後はパーソナライズ技術がユーザー体験向上のカギとの考えを示した。また、専門家が直接寄稿できるヤフー・ニュース個人とオリジナル記事のヤフー・ニュース特集との連携強化、Tポイントでも買える単品記事販売などを説明。メディアを強化してショッピング等も含むヤフー全体を活性化したいと述べた。信頼性問題は「築城20年、落城1日」と社内に訴え、ガイドライン制定等を進め「災害時などに頼れるメディアとなるよう磨きをかける」と語った。

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