サウジアラビアでの事業機会と経済情勢 グローバル経営支援セミナー
「総合投資院は、海外からサウジアラビアに投資をする際の最初の窓口となります。政府とのチャネルもあり、皆様にさまざまな情報提供ができるうえ、アフターサービスも行っていきます。
サウジアラビアは若い国です。人口の約50%が30歳以下と若者が多く、大きなチャンスがあります。これからICTや教育を始め、レジャー、エンタテインメント、化学、機械、製薬、交通、自動車部品などの進出を促進し、サウジアラビアをグローバルなハブにしたいと考えています」

また、サウジアラビアの石油会社であるサウジアラムコグループで、アラムコ・アジア・ジャパンの執行役員を務めるアブドゥルラフマン・アルモグレン氏も、「ビジョン2030」に貢献するためのプログラム「iktva」について、こう語る。「私たちのプログラムによって、サプライチェーンの発展、労働力の育成、地元の産業基盤の強化に努めていきます。すでにアラムコでも330億ドルを投資してトレーニングセンターの拡充を進めています。ビジョン2030達成のために価値創造の触媒となっていきたいと考えています」
サウジアラビアの投資環境
さらにサウジアラビアの投資環境について、アーンスト・アンド・ヤングのディレクターであるマジディ・アル・マダニ氏も、こう話す。


「サウジアラビアは、世界に対して開かれていくと思っています。古い慣習も、これからはアップデートされていくでしょう。すでに、法と規制について、税制などを含め新しい改革は始まっています。とくにビジネスにおいてはフレキシビリティが必要です。その意味で、政府系機関が窓口としてきめ細かくコミットしてくれるでしょう」
進出企業へのサポートは人材面でも行われている。サウジアラビア大使館文化部では、留学生対象の就職フェアなどを開催し、日本企業進出のサポートも行っている。外国企業が同国に進出するには一定数のサウジアラビア人の雇用が必須となっているためだ。同部のモハメド・ビルキア氏は、「政府派遣留学生の約6割はIT・エンジニア系です。最近のトレンドとしては医療系も増えており、女性が多いのも特徴となっています」と語る。
では、サウジアラビアに対して、日本企業はどう対応しているのだろうか。進出企業を見ると、資源・インフラ、自動車、商社などが名を連ね、2009年の82社から現在(2016年)は118社となっている(外務省・JETRO資料より)。
こうした現状を踏まえ、三菱東京UFJ銀行のリヤド支店開設準備委員長である藤澤宏明氏は、今回の支店開設の狙いについて次のような考えを示す。

「サウジアラビアには高い成長性があり、日本企業の進出も増加傾向で、お客様のニーズも多様化しています。今、世界中でサウジアラビアの成長力への期待感が高まっており、現地企業ほか欧米企業とのマッチングも増加中です。今後もお客様のあらゆるニーズを捉え、付加価値のあるサービスを提供していきたいと考えています」
三菱東京UFJ銀行では、すでに中近東に6拠点の金融ネットワークを有している。サウジアラビア国内支店を設立することで、今後もグループ全体でファイナンスのサポートや情報提供を進めていく方針だという。