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老舗こそ「創造的破壊」のリーダーとなる理由 化学素材産業の変革をリードするJSR

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  • 日本アイ・ビー・エム 制作:東洋経済企画広告制作チーム

企業のデジタル化が急速に進む中で、新しい動きが顕著になりつつある。これまで、“デジタルによる創造的破壊”といえば、アマゾンやグーグル、アップルといった、いわゆる“デジタルジャイアント”もしくは、スタートアップによるものであった。ところが、近年では、伝統ある大手企業がそれぞれの業界におけるイノベーションをリードするようになってきているという。伝統的な企業が自らを革新するためには何が必要になるのか。化学素材産業の変革をリードするJSRの小柴満信社長と日本アイ・ビー・エムの池田和明執行役員が語り合った。

化学業界のなかでいち早く事業構造を転換

池田 JSRは2017年に創立60周年を迎えられた伝統企業ですが、合成ゴムの会社としてスタートして以来、近年は半導体材料やディスプレイ材料といったファイン事業に注力される一方でライフサイエンス事業など多角化も進められています。外部から拝見していると、まさに変革を起こし続けている企業という印象があります。

 小柴 多角化を始めたのは1980年代からで、花開いたのは2000年代に入ってからでした。半導体材料事業などはうまく立ち上がりましたね。私は1981年に入社してフォトレジストの研究をするなど、新しい事業に主にかかわってきました。一方で当社はグローバル化も並行して進め、私は米国で半導体材料事業を立ち上げました。

 池田 化学業界のなかでもいち早く事業構造の転換を進めてこられましたね。

 小柴 事業構造変革をする場合、日本の企業はまず日本国内で実施し、その次に海外でというステップを踏みます。しかし当社は国内と海外で同時に行いました。今になって思うとそれが理にかなっていたのです。1990年代以降、市場ニーズはマスカスタマイゼーションの方向に向かっていました。機能化学品などはまさにマスカスタマイゼーションの世界です。しかし、機能化学品は国内市場だけでは量が限られているので、グローバルにマーケットを求めていったのです。

 池田 近年、急速に進化したデジタルテクノロジーによって実現できる新しいビジネスモデルが出てきました。そこには既存の企業だけでなく、外から入ってくる企業もありますし、スタートアップ企業が入ってきて一気に存在感を高めてもいます。そういうことがこの数年、いろいろな業界で起きていました。自動車産業はすり合わせ的なものづくりの産業なので、デジタライゼーションの影響を受けにくいと言われていましたが、今はEV化によって根本的に変わろうとしています。重工業もインダストリー4.0によって大きく変わろうとしています。デジタライゼーションの影響を最も受けにくいとみられていた素材産業も、大きなインパクトを受けています。IBMは2003年より定期的に「グローバル経営層スタディ」という、経営層の方へのインタビュー調査をグローバルで実施しており、業界ごとに創造的破壊がどれくらい起きているかというアンケートもとっているのですが、意外にも化学素材産業では、創造的破壊を意識している経営者が増えているのです。

量子コンピュータなど、最新テクノロジーのインパクト

小柴 私は半導体系のビジネスが長く、IBMともずいぶんコラボしてきました。今はIBMのリサーチ・フロンティア・インスティチュート(RFI)で量子コンピュータの応用に関する共同研究を行い、素材の新規開発にも取り組んでいます。最初は、人間の言語で会話し、意思決定を支援するというコグニティブ・コンピューティングの話を聞いてもピンときませんでした。しかし、その後、IBMワトソンの担当者の方達とディスカッションしているうちに、なるほどこれからの世界はこうなるのか、これは大変なインパクトがあるということがわかってきて、どこから手をつければいいのかずいぶんヒントをもらいました。当社が他社より早く変革に取り組んできたとしたら、そうした影響もあったと思います。

JSR 
代表取締役社長
小柴 満信

池田 今、特に注目されているテクノロジーは何ですか。

 小柴 私が注目しているのは今ちょっと触れた量子コンピューティングと、脳の構造を模倣した計算システムを構築するニューロモルフィック・デバイス、それから3Dプリンタといったところです。3Dプリンタのテクノロジーは製造業のあり方を根本から変えてしまう可能性があります。製造業とは縁のなかったプレイヤーが突然、製造業として登場してくる、そんなこともあるかもしれません。それこそ創造的破壊につながる動きです。

 池田 IBMはITに限らず、さまざまな技術についてグローバルで研究をしていて、そこから得られる知見をコンサルティングにも活用しています。そこがひとつ、IBMの強みだと思います。その強みを生かして、お客さまの変革を支援していく。そういう立ち位置で考えています。

 小柴 当社の場合、私が突っ走って、他の社員がついてくるのは大変だと思います(笑)。ただ、超高齢社会を迎える2025年以降、日本は大きな岐路に立ちます。そこまでの時間軸を見てどこにどれだけの資源を投入するか、トップの判断が問われるのだと思います。

変革には、潔く“やめる”判断も必要

池田 時代の変化に適応して、既存のビジネスから新しいビジネスにシフトしていかなければならないというとき、経営者としては同時に足元の利益も追求しなければならないですね。将来の変革に向けた投資と、どちらを追求すればいいのか、ともするとトレードオフの関係になります。そこを、将来の投資だと決めるのがトップの役割ですね。私たちIBMも大企業で、慣性に流されやすいところがあります。経営者や事業部門のトップが変革をしようとしても、その方向性についていこうとしない摩擦が生じることもあります。そこをどう乗り越えていくのかということは、多くの企業に共通する課題です。

日本IBM
執行役員
池田 和明

小柴 トップの仕事で重要なことの一つは、見込みのない事業をやめることです。当社は慶應義塾大学の医学部と共同研究をして、ライフサイエンスの新しい事業に取り組んでいます。今、化学業界で新しいものを探すことほど難しいものはありません。だから化学業界で新しいものを探すのはもうやめると決めて、これから取り組むのは生化学の分野にしました。そのほうがうまくいく確率ははるかに高いはずです。

 池田そういった経営者の決断こそが、変革、ひいては創造的破壊につながるのだと思います。変革のために外部と連携したり、人材を取り込んだりすることと、先端的なテクノロジーの活用は企業にとって必須です。現在のデジタルテクノロジーは企業の業務を変えるだけでなく、ビジネスそのものを変えてしまうところがあります。私たちは経営者や事業部門のリーダーの方々に対して、テクノロジーを活用した新規事業創造や既存事業改革を支援しています。

 小柴 新薬の開発には3000億円かかりますが、成功する確率は0.01%程度です。しかし開発のプロセスで人工知能とかロボットを活用すれば、0.01%が2倍の0.02%になるかもしれない。テクノロジーがもたらすインパクトはやはり大変なものがあります。

イノベーションの時代こそ、大企業の資産が生きる

池田 IBMは最近、「ガレージ」というサービスを始めました。お客様と、IBMのコンサルタントやデザイナー、データサイエンティストなどが「ガレージ」に集って協働し、いわゆるリーンスタートアップ・アプローチで、新規事業・サービス創出や変革プロジェクトを推進していきます。ここで企業のトップにお願いしたいことが一つあります。トップが、会社をこういう方向に変えていくのだという変革のアジェンダをセットし、取り組みの道筋をつけていただきたい。そうすることで、「ガレージ」が一部の小さな取り組みで終わらずに、全社的な変革に波及していきます。

 小柴 確かにアジェンダはトップ主導であるべきですね。その「ガレージ」は面白そうですね。IBMは、最先端の技術をいろいろ持っている。小さなものから大きなものまでいろいろな要素の研究もしている。世界12か所にある研究所の人たちが集まって、非常に壮大な計画もつくっている。そういうことのできる企業は、IBM以外あまりないですよ。

 池田 先端テクノロジーに対する洞察が深いこと、それを活用してビジネスの価値転換を支援し、実現すること。それを両方実行できるのはIBMだけだと私たちも考えています。

 小柴 今後、ロボットとかEVといったテクノロジーのキーになるのは素 材だと考えています。サイバーとかバーチャルと言っても、リアルの世界がついてこなければ意味がありません。そこの接点になるのが素材です。そういう意味では、当社のような企業にはこれからものすごくチャンスがあると考えています。

 池田 先ほどお話したIBMグローバル経営層スタディで、経営層に、創造的な破壊を起こしているのはどういう企業かと聞いた設問で、2017年では、「業界のリーディング企業」という答えが一番多かったんです。価値あるデータというのは、事業を通じて膨大なデータを蓄積してきた大企業が一番持っているのではないでしょうか。大企業がそのデータと先進テクノロジーを使えば、非常に強いポジションに立てます。日本の企業にもぜひこれからは、自ら創造的破壊を起こすようなリーダー企業になっていただきたいと思います。

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