リーダーの決断 事業拡大・承継にM&A

受け継がれる創業者の想い、後継者の育成

基調講演
事業拡大・事業承継のためのM&A活用法

中村 悟氏/M&Aキャピタルパートナーズ代表取締役社長

中堅・中小企業を対象にM&A仲介サービスを行なうM&Aキャピタルパートナーズの中村悟氏は、廃業する中小企業の増加について「事業は黒字でも、後継者がいないことが大きな理由」と説明した。特に、資本承継のハードルは高く、多額の株式購入資金を用意してもらう必要がある社員への第三者承継は非現実的。上場しても売り出せる株式は限られる。その点、M&Aは株式をすべて売却でき、譲渡に係る税金も約2割で、創業利益を最大化できる。資本承継を決めなかったオーナーの死後に勃発した、兄弟間の骨肉の争いも見てきた中村氏は「決断しなければ、家族、関係者を不幸にする」と警鐘を鳴らし、会社の行く末を心配した経営者がM&Aにより希望した形で事業譲渡し、安心と創業利益を得た事例を紹介した。同社は、成功報酬型の手数料体系を採用。借り入れを含まない株式価額だけをベースに算出する独自のエクイティ・レーマン方式で手数料負担を軽減し、事業承継目的のM&A市場拡大を図っている。昨年、自身も同業のレコフを買収した中村氏は「恐さもあったが、成長を加速できた。M&Aは会社を次世代につなぐ素晴らしい方法」と述べた。

譲渡オーナー対談
譲渡決断の経緯~そして今、思うこと

対談者:池ヶ谷 博章氏/M&Aキャピタルパートナーズ企業情報第三部長
河瀬 進氏/エスアンドエス代表取締役社長

今年7月に、大手スーパーマーケットチェーンへ株式を譲渡したエスアンドエスの河瀬進氏は、M&A検討の経緯や、感じたことを語った。同社は1985年に岐阜県瑞浪市の商店街が食品スーパー運営のために共同で設立。以来、地元に親しまれてきたが、商圏人口減少や高齢化により、独力での事業継続に不安があった。河瀬氏は、入社していた息子に株式を集約して継がせるか、M&Aで株式譲渡するか、の両案を検討。「着手金がなかったので気軽な気持ち」で、M&Aキャピタルパートナーズのアドバイザリーを受けることにした。その後、面談で「ここになら任せられる」と思える企業と出会い譲渡を決断した。社内への説明は、幹部・社員へは契約前日、パート社員は契約後に伝達したが、待遇などに変化はないことを説明して、混乱なく受け入れられた。「手数料を考えて最初は自分でやることも考えたが、これまでの経営をきちんと評価してくれたデューデリジェンス支援は素晴らしかった」と、専門家らの必要性を強調。モデレーターの池ヶ谷博章氏は「選択肢の一つとしてM&Aを検討しやすいよう、当社は着手金をゼロにしています」と応じた。

クロージング
M&A成功のポイント

中村 悟氏/M&Aキャピタルパートナーズ代表取締役社長

中村氏は、買手企業に対し「将来のビジョンを持ち、自社の強みと弱みを把握すれば、自然に相手企業は絞り込める」と語った。交渉は、相手経営者への敬意を忘れず、信頼を深めるよう強調。目的、経済条件を決め、時にはあきらめる決断も大事で、リスクを適切に見極め、契約の先延ばしは避けるなどの留意点を挙げた。譲渡側企業は、能力と意思を持った後継たりえる子どもの有無がM&A選択の分かれ目になると指摘。オーナー家の利益、相手企業の成長性、譲渡後の社員の活躍の場などのポイントを整理して検討し、決済までは、周囲に漏らさず、オーナー一人で考えることを強く推奨した。交渉は平均8カ月、その後の引き継ぎに1~2年程度かかることを考慮して、プロジェクトを開始する必要がある。最後に、譲受企業は成長、譲渡企業は会社継続と雇用安定、オーナーは創業利益と個人保証解除を得られ、「関係者全員が幸せになるのが友好的M&Aの意義」と語った。

お問い合わせ
M&Aキャピタルパートナーズ