営業改革
― 進化する営業リーダーの役割 ―
【ケーススタディ】
組織パフォーマンスを最大化するための仕組み作り
セールスフォースの布施俊介氏は、同社の組織体制と人的配置、目標到達の戦略、営業担当の育成、組織文化・価値観の4点に関する営業リーダーの役割を実践例を交えて説明した。同社の組織は、見込み客獲得(マーケティング)、見込み客育成・案件発掘(インサイドセールス)、案件管理・課題解決(営業)、契約継続・追加(サポート)の4部門で分業。リーダーは「一人の営業担当ではなく、組織で結果を出す役割」を追求する。そのために、外部環境、全社戦略の枠組みの中で、文化の土台の上に、目的・戦略といった規律面と、部下の把握を前提に仕事を任せる自由度のバランスが重要と強調。戦略は、商談を8フェーズに分けて営業支援システムで進捗管理する。リーダーは初期の「商談の特定」に高い優先度で関与し、短期に偏りがちな営業担当に対し、将来を見据えて潜在する商談を見極める。自由度を持たせるために必要な、部下の教育・育成では、能力開発の主要因である「ビジネス上の体験」を要素分解し、データで弱点を可視化してコーチング。組織文化面でメンバーの意識を高めるには、社内SNSツールのオープンなコミュニケーションが有効と述べた。
【特別講演】
営業プロセス革新をITで実現するアンリツの挑戦
計測器メーカー、アンリツの宇佐美学氏は、同社のCRM基盤再構築の取り組みを報告した。海外売上高が7割弱の同社は、グローバルな経営システム基盤整備を推進。IT部門では、サプライ、エンジニアリング、カスタマーライフサイクルの三つのチェーンを有機的につなぎ、ビジネスプロセスの変革・見える化に取り組んだ。旧システムは、マーケティング、営業、代理店用サイト、コールセンター、修理・校正受付など各部門がバラバラに持っていた情報の一元化が課題で、営業効率改善に向け、CRM再構築を決断した。営業、アフターサービス、コールセンター機能を幅広くカバーし、グローバル利用、社外との情報共有が可能なクラウドサービスという条件を満たすセールスフォースを選択。これにより、商談と営業活動をひも付けた情報を販売戦略に応用、サポートへの問い合わせ内容を営業と共有、リードのフォロー徹底のためにインサイドセールス立ち上げ、保守のスマート化、代理店との情報共有改善などを実現した。
さらなるプロセスの進化に向けて「セールスフォースのシステムの機能の背景にある考えが参考になる」と述べた。