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オープニング
セールスフォースの田崎純一郎氏は、叱責、値引き、広告や営業アウトソーシングなどの一過性の施策だけで現状打破を試みる企業へ警鐘を鳴らし、社内の営業改革の必要性を訴えた。「改革は手間がかかるが、お客様が変わる以上、その最前線にいる営業も変わり続けなければなりません」と述べ、改革のヒントを探しながら「楽しんで聞いてほしい」と挨拶した。
【キーノート】
今、営業リーダーは何をすべきなのか。
働き方改革、採用難、ダイバーシティ時代を生き抜け。
『優れた営業リーダーの教科書』等の著書がある東工大の北澤孝太郎氏は、最近の営業リーダーについて、戦略・戦術が場当たり的で、営業知識も貧困といった傾向に触れ「営業組織を疲弊させている」と述べた。この現状を克服するには、営業の本質として、まず顧客に課題解決の期待感を抱いてもらえるような「自社のあり方」や「営業組織のあるべき姿」についての理想を持つことからスタート。数ある競合の中から顧客に選ばれる理由となる「顧客価値」、豊富な情報を持つようになった顧客の期待に応えるための「営業知識」、自分たちが譲れない「価値基準」という、三つの現実の仕組みと、あり方の理想を照らし合わせ、理にかなった戦略を立て、それを具体的戦術に落とし込むという「北澤モデル」を提唱した。営業リーダーは「前年度比何%増といっただけの戦略設定をしても部下の共感を得られない」として、自ら、経験に裏付けられた営業知識を増やし、顧客価値を考えるとともに、部下が仕事に高い興味・関心を持てるように働き方を変え、その結果生産性を上げることが「営業の働き方改革の神髄」と強調。SFAなどの営業ツールは「画一的な行動管理に使っても営業成績は上がらない」として「顧客の状況に合わせた対応を、部下と一緒に考えるコーチングに使うべき」と話した。
【チャレンジャーセールス】
不況でも常勝する”チャレンジャー・セールス・モデル”
セールスフォースの田崎純一郎氏はソリューション営業に有効な理論として『チャレンジャー・セールス・モデル』を解説した。同書は、B toB営業担当を、勤勉型、関係構築型、一匹狼型、受動的問題解決型、論客型の五つに分類。複雑性の高いソリューション営業には、買い方がわからないという顧客に視点を指導できる、論客型のチャレンジャーが成績優秀者に最も多いという調査結果を示した。
チャレンジャーの育成には、リーダーが営業担当と継続的なやり取りをして、一緒に案件を進めるコーチングが有効と指摘。コーチングは平均的パフォーマーの業績をプラス19%も改善し、ハイパフォーマーの定着率も高めるというデータを示した。このモデルへの営業改革にあたり、マネージャーは、営業活動の阻害要因を特定する調査、製品・サービスの新たなポジショニングを生み出す創造、成功事例を組織内で共有――の三つの役割を担う。「顧客ロイヤリティ獲得要因の半分以上は、インサイトを与えてくれる営業体験が担う。ソリューション販売をする企業はチャレンジャー・セールス・モデルの検討を」と呼びかけた。
【ケーススタディ】
組織パフォーマンスを最大化するための仕組み作り
セールスフォースの布施俊介氏は、同社の組織体制と人的配置、目標到達の戦略、営業担当の育成、組織文化・価値観の4点に関する営業リーダーの役割を実践例を交えて説明した。同社の組織は、見込み客獲得(マーケティング)、見込み客育成・案件発掘(インサイドセールス)、案件管理・課題解決(営業)、契約継続・追加(サポート)の4部門で分業。リーダーは「一人の営業担当ではなく、組織で結果を出す役割」を追求する。そのために、外部環境、全社戦略の枠組みの中で、文化の土台の上に、目的・戦略といった規律面と、部下の把握を前提に仕事を任せる自由度のバランスが重要と強調。戦略は、商談を8フェーズに分けて営業支援システムで進捗管理する。リーダーは初期の「商談の特定」に高い優先度で関与し、短期に偏りがちな営業担当に対し、将来を見据えて潜在する商談を見極める。自由度を持たせるために必要な、部下の教育・育成では、能力開発の主要因である「ビジネス上の体験」を要素分解し、データで弱点を可視化してコーチング。組織文化面でメンバーの意識を高めるには、社内SNSツールのオープンなコミュニケーションが有効と述べた。
【特別講演】
営業プロセス革新をITで実現するアンリツの挑戦
計測器メーカー、アンリツの宇佐美学氏は、同社のCRM基盤再構築の取り組みを報告した。海外売上高が7割弱の同社は、グローバルな経営システム基盤整備を推進。IT部門では、サプライ、エンジニアリング、カスタマーライフサイクルの三つのチェーンを有機的につなぎ、ビジネスプロセスの変革・見える化に取り組んだ。旧システムは、マーケティング、営業、代理店用サイト、コールセンター、修理・校正受付など各部門がバラバラに持っていた情報の一元化が課題で、営業効率改善に向け、CRM再構築を決断した。営業、アフターサービス、コールセンター機能を幅広くカバーし、グローバル利用、社外との情報共有が可能なクラウドサービスという条件を満たすセールスフォースを選択。これにより、商談と営業活動をひも付けた情報を販売戦略に応用、サポートへの問い合わせ内容を営業と共有、リードのフォロー徹底のためにインサイドセールス立ち上げ、保守のスマート化、代理店との情報共有改善などを実現した。
さらなるプロセスの進化に向けて「セールスフォースのシステムの機能の背景にある考えが参考になる」と述べた。