「個性を生かす」データセンターの選び方 データを置く場が「新たな価値を生む場所」へ
実際、海外の先進的な企業では、データセンターの選び方が変化してきているという。エクイニクスの最大の強みは、データセンター内で企業同士のサーバーを直接つなげるインターコネクション(相互接続)と呼ばれる機能だ。
「エクイニクスは1998年にアメリカで、ビットアイルは2000年に日本で創業しており、その歴史や考え方が非常に似ているのです。もともと倉庫を改造したデータセンターから起業という生い立ちも同じですし、当時IDC(インターネットデータセンター)と呼ばれていたデータセンター事業を、専業で始めた点も同じ。私とビットアイル創業者との個人的な付き合いもあり、『日本におけるグローバルプラットフォームの基盤を広げるために、一緒にやりましょう』ということになったのです」。
エクイニクスは24カ国48都市に190のデータセンターを運営、グローバルに事業展開を行っており、アメリカの経済誌が発表しているグローバル企業ランキングに選ばれた企業のうち、210社以上が何らかの形でエクイニクスを利用している。日本でも、2016年1月にエクイニクス・ジャパンが東証一部上場のデータセンター企業「ビットアイル」と経営統合したことも話題となった。
エクイニクスの強み「インターコネクション」とは
両社には共通点も多いが、持っているサービスやノウハウに違いもあった。ビットアイルにありエクイニクスになかったものは、クラウドやマネージドサービスと呼ばれる、データセンター利用の際に必要となる周辺のサービスである。一方、グローバルなプラットフォームの中核をなす「インターコネクション」は、エクイニクスが強みとするサービスだ。
互いの強みを生かすことでビジネスシナジーが生まれ、現在エクイニクス・ジャパンは東京都内に10拠点、大阪に1拠点のデータセンターを展開する。エクイニクスの特徴である、グローバルかつシームレスなプラットフォームサービスが、ビットアイルとの経営統合でさらに強化された形になった。
「当社は東京だけで10のデータセンターを運営していますが、通信サービス会社が集積するデータセンター、パブリッククラウドサービスに閉域網で接続するのに適したデータセンターといった具合に、データセンターの個性がそれぞれあります。たとえば『TY3』というデータセンターにはFX取引関連のお客様が多く入っているのですが、そこで整備されたインターコネクションの環境が、膨大な情報を遅延なく交換処理するFXの取引に寄与しています」。
光にも速度があるため、少しでも物理的に近い方が通信速度を高く保てる。そして、パブリックなインターネットを介さずデータセンター内で直接接続することで、セキュアで高速、かつ安定したデータ交換処理が実現される。これは、データセンターにおけるインターコネクションが新しいビジネス価値を生み出す一例と言えるだろう。最近、古田氏はある変化を感じているという。
「日本でも、デジタルトランスフォーメーションの潮流に乗るための高い意識と深い戦略を持つ企業が、これまでになく増えているように感じます。その変化の先端にいる当社の強みは、最新の成功事例に富んでいること。私たちが見ているデジタル世界の変化を、より多くの企業と共有できればと思っています。ぜひ、私たちのドアをノックしてください」