「個性を生かす」データセンターの選び方 データを置く場が「新たな価値を生む場所」へ

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グローバルなデータセンターに注目が集まる理由

たとえば、遠く離れた国の小さなショップのアクセサリを、日本にいながらスマートフォンの画面をタップするだけで買うことができる。さまざまな情報がデジタル化されて世界中を行き交い、データが価値の源泉となる時代、もはやデジタルを抜きにビジネスを展開することは考えられなくなっている。

「そこで今、あらためて注目されているのがデータセンターなのです」と指摘するのは、米国のグローバルデータセンター企業、エクイニクスの日本法人エクイニクス・ジャパン代表取締役・古田敬氏。「それは、人々の活動がリアルな社会からサイバー空間へ拡張し、シフトする『デジタルトランスフォーメーション』が、これまでのビジネスプロセスを大きく変えていくと予想されているからです。現実世界で将来起こりうる事象を、まずバーチャルな環境で精緻にシミュレーションすることによって、

リアル世界を前提に考える「フィジカル・ファースト」から「デジタル・ツイン」へ、そして最新の「サイバー・ファースト」へ。時代は今も動いている

たとえばエンジンの性能の経年劣化や故障を予測し、現実のエンジンにフィードバックすることが可能になってきています。デジタル技術により、リアル世界のバーチャルコピーを作り並列させる『デジタルツイン』と呼ばれる現象です」と続ける。

これまでデジタル環境は、商品をWEBサイトで購入するなどといった、いわば物理的な取引を補完する立場にあった。しかし今後は、上記の「デジタルツイン」に加え、まず先に多彩かつ膨大なデータを駆使してデジタルの世界で将来を予測し、その結果を現実世界に反映させる「サイバーファースト」というトレンドすら現実のものになってくるという。

古田 敬
エクイニクス・ジャパン 代表取締役

一方でこうしたデジタルトランスフォーメーションの潮流は、これまでになかったような企業間の協調も促していくだろう。たとえば、自動車の自動運転が現実になった際、そこで協業するプレーヤーの顔ぶれやプレーヤー同士の関係は、以前とは大きく異なっているはずだ。「デジタルトランスフォーメーションの進行によって、多くの企業に、自社のコアとなる強みは何か、どのようなビジネスモデルを選択すべきか、といったことが問われていくでしょう」と古田氏は語る。

企業が膨大なデータをやり取りする中でデータセンターが果たす役割も、当然変化してきている。「企業のデータトランザクションは、利益を生むものと生まないものの二つに大別できます。これまでのデータセンターは新たな利益を生み出すというよりも、コストダウンなどを目的とし、データ処理の効率化の観点で使われるケースが多かったのです。しかしデジタルシフト時代を迎えた今は、企業が新たな成長戦略を具現化するためのプラットフォームとして、データセンターを新しいビジネスを生みだす場として、積極的に活用する動きが目立っています」

 
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