自治体×ソフトバンクの未来 藤枝市からはじまる新たなICT活用
―自治体とソフトバンクが包括連携協定を締結されるのは藤枝市が初めてだそうですね。
北村 学習指導要領の更新に先駆けてプログラミング教育を実践するために、ソフトバンクの「Pepper」を活用できないかと相談をもちかけたことがきっかけでした。AI、IoT、ロボットという事業に注力しているソフトバンクなら、我々が進めたい地方創生の取り組みをより効果的に推進できるものと考え、2016年6月に「健康」「教育」「環境」「危機管理」といった市民生活に直結する事業を網羅する包括的な連携協定を結ぶ運びとなりました。
今井 我々の社是は「情報革命で人々を幸せに」すること。今回、いち早く決断された藤枝市の事例を通して、我々が推進しているIoTのプラットフォームをともに進化させていきたいと考えています。
―そもそもICT活用による地方創生や新たに立案された「ふじえだ健康都市創生総合戦略」を推進されようと思った背景とは何でしょうか。
北村 静岡県は、人口減少進行が顕著な地域です。幸い、藤枝市は増加傾向にありますが、首都圏に進学した若者のUターンが非常に少なく、特に女性は3割程度しか戻ってきません。こうした状況をふまえ、若者や子育て世代が移住・定住するまちづくりを目指し、「子どもの未来を創る」「産業を育て、仕事を創る」「働き方改革」の3つを地方創生の目的におきました。そして、ICT活用こそ目指す方向性を実現させるものと考え、17年4月にICT推進室を設置し、ICT活用を促す環境づくり、活用できる人材づくりに取り組むことになったのです。
―ソフトバンクのIoTプラットフォームを活用して進めようとしている藤枝市の実証実験の概要についてお聞かせください。
北村 IoT活用に求められるLPWA(低消費電力広域)ネットワークは今後、全国で整備が進められていくと言われています。それに先駆けて、市のほぼ全域にIoT通信基盤を整備。最先端技術の導入促進と、新たな市民サービスの創出を図り、全国各地の事業者に実証実験の公募を行いました。公募では市内で新しい技術が実験されることに主眼をおいた「一般型」と、市で補助金を交付し、支援も行う「公共テーマ型」の2つを実施。一般型では11事業、公共テーマ型では8事業を採択し、順次取り組みが進められています。