加速するオカムラの働き方改革 ナチュラルビーイングな生き方・働き方へ

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オフィスづくりを通じて企業の競争力向上をサポートしてきた岡村製作所が、自社の働き方改革を加速させている。「日本のオフィス文化をつくる」という目標を掲げる同社は、オフィスでの新しい働き方を提案するために、自ら経験知を積み重ねていくことに全力を傾けているのだ。人の意識を変え、企業風土の変化をもたらし、ありたい姿を目指すことが働き方改革だという岡村製作所の挑戦をリポートする。

企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化している。変化に対応できなければ成長どころか生き残ることさえ難しい中で、企業が抱える課題は多様かつ複雑になっている。そうした課題を解決し、競争力を強化するために、オフィス家具メーカーの岡村製作所(オカムラ)は、幅広い視点からオフィスづくりを提案してきた。ものづくりのみならず、「はたらくを共に描くパートナー」として、日本のオフィス文化を築き上げてきたと言っても過言ではない。

業務改革部を発足
「ソダテル」と「カエル」プロジェクト始動

だが、課題がなかったわけではない。時代の先を行く企業に先進的なオフィスを提案し続ける一方で、自分たちは変化を乗り越えるための挑戦に取り組めているのかという自問だ。自らも変化に挑み、さらなる高みを目指すべきではないか、その知見が顧客の提案に生きるのではないか、という沸々とした想いを抱く社員が多かったのである。その想いを束ねるかのように、オカムラは「働き方改革」を本格始動させた。自らが環境や働き方を変革し、成功も失敗も含めて知見を集め、顧客への情報発信、新しいオフィスの提案へとつなげるためである。

「働き方改革」の基本となるコンセプトは、「ワークインライフ」とした。ワークとライフは等価の位置づけのワークライフバランスではなく、自分がどう生きたいかというライフを基盤に、それを実現する一つの手段としてワークがあると考えたからである。このコンセプトを基に、すでに三つの取り組みがスタートしている。

業務改革部 部長
鈴木人司

昨年、新たな部署として発足させたのが業務改革部だ。「業務改革部はオフィス営業本部内に設けられていますが、ターゲットは全社の業務改革です。モバイルやICTを活用してどこでも働ける環境をつくる、間接部門の集中化・効率化推進、全般的な無駄の削減・簡素化など九つのテーマを掲げています。たとえば、昨年末から毎週水曜日のノー残業デーは、午後6時半になると強制的にPCをシャットダウンします。これは長時間労働の削減が目的で、どうしてもしなければならない仕事がある場合は、所属長への申請が必要になります。最近は他の曜日にも自主的にノー残業を実施する動きが出てきています。今年はプロジェクトや部署間の連携を一層強化するため、労働組合の委員長もメンバーに入ってのミーティング「横串会議」を設け、10月にはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用を目指す新たなプロジェクトも立ち上げる計画です」(業務改革部・部長・鈴木人司氏)。

さらにダイバーシティを推進する「ソダテルプロジェクト」も始動した。昨年は制度や環境などの課題を洗い出し、今年の6月には在宅勤務制度を導入した。プロジェクトリーダーを務めるeオフィスセンター所長・望月浩代氏が説明する。

eオフィスセンター 所長
望月浩代

「育児や介護が必要な社員のための時短勤務制度は以前からあり、対象となる社員の約8割が活用しています。それをさらに柔軟に使えるようにするため月4回、自宅および介護者の自宅での勤務や、中抜けを認めるようにしました。1日フルでも半日でも構わない仕組みです。ウェブ会議などが利用できるので、コミュニケーションに問題はありません。将来的にはより効率化を図るために、誰でもいつでも利用できるようにしたいと考えています」

今年に入って、「働き方カエル!プロジェクト」もスタートした。これは部門ごとに社員自らが働き方を見つめ直し、変えていこうという取り組みだ。制度面からのフォローとしては、社外でのモバイル端末利用の承認基準を緩和し、より持ち出しやすくするとともに、出張先や外出先の近くにオカムラの拠点がある場合、そこに立ち寄って仕事ができるようにした。移動時間の無駄を極力減らすのが目的だ。

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