台湾の玉山銀行が日本進出で果たす使命とは 中小企業の海外進出支援に大きな期待

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東京・丸の内で開催された「玉山銀行 日本初開設記念 事業戦略発表会」での黄男州 総経理(右)と林國維 東京支店長(左)
2017年10月5日、東京・丸ビル内に新しい銀行がオープンした。玉山銀行東京支店である。「台湾市場の深耕とアジアへの展開」を経営戦略に掲げる玉山銀行は、台湾の有力銀行で、中国や東南アジア各国、さらに米国や豪州にも拠点を展開している。今回の日本進出は、そうした海外ネットワークも活用して日本の中小企業の海外進出を支援するのが大きな目的の一つだ。

台湾~東南アジアにネットワークを展開

玉山(イイサン)銀行は1992年に設立された。台湾では1990年代に金融が自由化され、この時代に多くの民間銀行が設立されたのである。玉山銀行はその中でも最も早い時期に設立された民間銀行の1行だ。ただ、台湾の金融業界では、同族経営の民間銀行や政府系の銀行が多い。玉山銀行はそうした中でほとんど唯一の非同族・非政府系銀行として、台湾内に140店近い拠点を展開している。

また、台湾の銀行で初めて携帯電話向けにQRコードによる支払いサービスを始めたり、やはり台湾の銀行としては初めてVISAと提携したりするなど、サービスの先進性でも定評がある。「プロフェッショナルな人材によるプロフェッショナルサービスの提供」というのは、玉山銀行の形容にしばしば使われるフレーズだ。一方ではコーポレートガバナンスの強化に力を入れ、地方の小学生のために100カ所を超える図書館を建設して寄贈するなどCSRにも積極的に取り組んでいる。

そうしたことが評価され、玉山銀行は金融専門誌の『アジアマネー』により「台湾最優秀銀行」に選ばれたり、『アジアンバンカー』誌から「台湾最優秀中小企業銀行」に選出されたりするなど、数多くの賞を受賞している。ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスに選定されているのも、台湾では玉山銀行だけだ。

その玉山銀行が近年、特に力を入れているのが海外展開だという。黄男州総経理はこの間の実績についてこう述べる。

玉山銀行 黄男州 総経理

「当行は、台湾市場の深耕とアジアへの展開を経営戦略として掲げており、中国、ベトナム、ミャンマー、シンガポール、カンボジア、さらに米国やオーストラリアにも拠点を展開しています。その結果、多くのお客様から、東南アジア各国への展開を進める際の信頼できるパートナーという評価をいただいています」

フルスペックの金融サービスを提供

そして今回、9カ国目、25番目の拠点として東京支店の開設に踏み切ったのである。

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