APIエコノミーの衝撃 デジタルプラットフォームを制するモノが未来のビジネスを制す!
IBM講演II
FinTechが拓くAPIエコノミーの魅力
IBMの早川ゆき氏は、コアビジネスの支援機能をAPIで他社から借り、より本質的なビジネスに集中できるAPIエコノミーの魅力を語った。金融業界のAPIエコノミーは、フィンテックにマーケティングテックやリテールテックなどを組み合わせて他業種と連携する方向に進化。家計簿アプリがレストラン等と連携して効果的なタイミングでオファーする執事系アプリに発展した例を紹介した。銀行は、自行サービスだけのブランドショップから、外部の人気サービスも取り入れたセレクトショップ化を将来の可能性の一つとして提示。パートナー獲得には、完璧にコントロールされたAPI公開が必須と指摘。外部デベロッパーへのラインナップ公開やセキュリティを一元化するため、IBMのAPI CONNECTなどの基盤を利用した統合管理が重要と強調した。
特別講演II
SBIグループが挑むFinTech革命
SBIホールディングスの北尾吉孝氏はフィンテックの進化を三つのフェーズでとらえる。まずフィンテック1.0として証券、銀行、保険をコアとする多様なオンライン金融サービスがシナジーを生み出す独自の金融生態系の完成を宣言。今後はAI等の要素技術を金融分野で活用する同1.5時代(現在)、ブロックチェーンを中核技術とする同2.0時代だ。SBIグループでは次フェーズへ3年以内の移行を目指す。現在はフィンテックベンチャーに投資するフィンテックファンドの設立やフィンテックベンチャーとの提携等による新サービスの開発を加速。さらに同2.0時代を見据え、米・リップル社と連携し、次世代型送金システムの構築を目指す内外為替一元化コンソーシアムを設立(国内61行が参加)。また、仮想通貨を基盤とした新たな金融生態系の構築へ、仮想通貨取引事業参入にも言及した。
ディスカッション
APIエコノミーの衝撃
―金融の未来を面白くする、全く新しいサービスの共創
MUFGの藤井達人氏は、ITのアイデアを競うハッカソンを開催しながら、銀行、証券、投信情報とグループで、オープンイノベーションに向けたAPI公開を推進していることを説明。将来の顧客へのチャネルやサービスをスピーディに増やすには、金融機関単独では限界があり、APIを公開して、外部デベロッパーと連携が必要になるとの考えを示した。
マネーフォワードの瀧俊雄氏は「誰が技術を使うのかを考えることが大事」と強調。世の中のお金に対する不安に応え、家庭のお金を守る自動家計簿アプリの意義を語った。同社は金融機関とAPI連携を進め、クラウド型ERPなども提供。金融機関のオープンAPIは「現金が使われなくなった社会への備えが根本の考えにあるべき」と述べた。
IBMの羽川氏は、オープンAPIは避けて通れない。しかし、ビジネスモデル変革のタイミングは金融機関によって異なり「いつ始めるかの判断が重要になる」と指摘した。