戦場での赤下着に超自然的な効果はあるのか 強い軍隊のためのマル秘ノウハウ
バードストライク問題を克服
長さ18mの砲身から時速650kmで放たれた砲弾がジェット機に撃ち込まれる。“砲弾”の重さは約1.8kg。なにやら物騒だが、この砲弾の正体が「鶏肉」だと聞いたら、ほとんどの人がなにそれ?と首を傾げるに違いない。
アメリカ空軍のジェット機は年間3000回程度、バードストライクに見舞われるという。被害総額は年に5000万ドルから8000万ドルに及び、数年に一度パイロットの命が奪われる。チキン砲は、バードストライクに機体がどれだけ耐えうるかの実験のために撃ち込まれていたのである。
実験なら鴨や雁のような飛べる鳥のほうがいいのでは?とツッコミを入れたくなるが、ニワトリは、湿地帯上空を飛ぶ鳥と比較しても肉の密度が高いのだそうだ。しかも入手しやすく規格化も容易。まさに実験の素材としてはうってつけというわけだ。
それにしても機体に向けて繰り返しチキン砲が放たれる光景にはなんだか脱力させられる。だがアメリカ空軍の研究チームは大まじめだ。鳥は学習能力が高く、滑走路に近づけまいとして人間が流す警報音や小さな爆破音、捕食者の鳴き声などに、あっという間に順応してしまうという。そうした鳥の利口さに対して、彼らは鳥類学や統計学、工学など学際的な知見を総動員して立ち向かった。
その結果、発信器をつけたヒメコンドルの飛行データをもとに「鳥類迂回モデル」を生み出し、バードストライクのリスクの高い時間と空間を避けるフライトスケジュールを組み立てたり、鳥が特定の周波数に反応するというデータをもとに、飛行機のレーダービームに信号を加え、前方を飛ぶ鳥に危険を知らせることができるようにしたりといった対策を立てることに成功したのである。
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