たった「3つの質問」で従業員の変化を把握 声なき声を受け止めるHRテクノロジー

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人手不足が深刻化する中、人材の流出や労働生産性の低下を防ぐためには、企業は従業員のコンディション変化の兆しを発見し、対策を打つことが重要だ。リクルートホールディングスとサイバーエージェントは、2017年7月、これらの課題解決を支援する新会社、ヒューマンキャピタルテクノロジーを設立し、新サービス「Geppo(ゲッポウ)」の提供を始めた。リクルートホールディングスが67%、サイバーエージェントが33%をそれぞれ出資している。リクルートは「新規事業提案制度」通称Ring(Recruit innovation Group)という30年もの歴史がある制度を社内に持っており、誰もが知る看板事業をいくつも生み出してきた素地がある。同じく新規事業を創出してきたサーバーエージェントとの共同プログラム「FUSION」によってこのサービスは誕生した。重厚長大なHRテクノロジーの世界に一石を投じるGeppo。その特色や導入のメリットについて、同社取締役の渡邊大介氏に聞いた。

3つの質問のみで従業員を把握?

渡邊大介
ヒューマンキャピタルテクノロジー取締役 サイバーエージェントで広告部門を経て人事部へ。同社の先進的な働き方を支えてきた。リクルートとの共同事業プログラム「FUSION」をクリアした唯一の事業Geppoを牽引するひとり。

ヒューマンキャピタルテクノロジー 取締役の渡邊大介氏は「会社は誕生したばかりですが『Geppo(ゲッポウ)』は、サイバーエージェント(以下、CA社)で3年以上運用されてきた実績のあるツールをベースにしています」と紹介する。

GeppoはITを活用した組織診断ツールであるが、決して難解なものではなく、あまりにもシンプルなものだ。従業員はPCやスマートフォンを使って、毎月わずか『3つの設問』に回答するだけだ。

設問の内容は、リクルート ワークス研究所が毎年実施している、全国就業実態パネル調査(JPSED)から退職・休職の要因を導き出したもので、「仕事満足度(仕事に対する満足度はどうですか等)」「人間関係(あなたの職場の人間関係は良好ですか等)」「健康(最近よく眠れていますか等)」の3つ。それぞれに対する、その月の自己評価を「快晴・晴れ・曇り・雨・大雨」で回答するようになっている。ログインも不要で、わずか1分で回答できるのが大きな特長だ。これなら従業員の負荷も低いだろう。

仕事満足度
に関する質問

現在の仕事に満足できているか否か。生産性の低下だけではなく、離職・休職に影響することも。満足度の推移を見ることで、業務状況やその問題点も見えてきます。

人間関係
に関する質問

職場の人間関係は、労働生産性に大きく影響します。上司と部下、同僚を中心に複雑な課題が多数存在。特定部署の業績が大きく悪化する前に、課題の特定を目指します。

健康
に関する質問

本人ですら自覚がなく、早期発見が出来ないことも。だから、精神的・身体的諸問題がいち早く表出することの多い”睡眠”の質を聞くことで、早期発見を可能にします。

基本的な3要素から設問を生み出す(Geppoのウェブサイトより)

渡邊氏は、「私自身もCA社に在籍の頃は、今のGeppoのベースとなったアンケートツールを利用していました。CA社での回答率は9割を超えていましたね」というほどの高い入力率になっているという。

そして、入力促進に一役買うのが絶妙なUIだ。

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