デジタル時代のグローバル経営管理の新潮流 世界中の経営資源を集約、可視化の先の未来
主催:東洋経済新報社
協賛:日本マイクロソフト、キリバ・ジャパン、コンカー
基調講演
多様化時代の異文化リーダーシップ
グロービス経営大学院の田岡恵氏は、多様性がイノベーションと結びつくためには、その間に多様な人々が互いに学び、新しい能力を獲得する「インクルージョン(内包)」が必要と強調した。しかし、行間を読むことを求めるハイコンテクストなコミュニケーション、建設的なものも含めて対立を避ける、ネガティブなフィードバックが苦手といった特徴を持つ日本の文化は、世界と比較して非常に極端で特殊であり、異文化人材に不安と疑心暗鬼を起こさせ、排斥することになりやすい、と指摘。多様化時代は、異文化に対する知識、違いによって善し悪しを決めつけない意識を持ち、線を引かないように振る舞い、違いを楽しみにつなげる「インクルージョンを起こす異文化リーダーシップの発揮を」と訴えた。
問題提起
変化するグローバル市場と求められる企業経営モデル
PwCコンサルティングの松崎真樹氏は、同社が今春刊行した世界CEO意識調査の結果を紹介。脅威として世界、日本のCEOともに経済成長の不確実性を挙げ、今後の世界の行方として単一のグローバル市場より地域貿易ブロックといった分断化を予測。今後5年で業界の競争条件がテクノロジーによって変わるとするCEOも日本、世界ともに70%を超えた。一方、強化したい分野を見ると、日本はイノベーションと人的資本が32%、30%で上位を占め、デジタル技術の能力は4%と、世界の15%に比べ低かった。意思決定におけるマシン導入の調査でも、日本は中国やドイツなどと比べ、機械の活用が少なく、人が決める傾向が強い、とするデータを示し「今後は、機械で人を強化する方向に努力すべき」と訴えた。