中堅・中小企業の稼ぐ力を取り戻せ 強い経営体質、組織・営業戦略のつくり方

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収益力のある強い経営・営業組織を目指すセミナー「中堅・中小企業の稼ぐ力を取り戻せ」が7月25日に東京・千代田区で開かれ、経営課題解決のヒントを求める約350人が参加した。
共催: セールスフォース・ドットコム
東京TYフィナンシャルグループ
東洋経済新報社

オープニングスピーチ

長岡 光昭氏/八千代銀行 専務執行役員 兼きらぼしコンサルティング代表取締役社長

来年、東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京の3行合併で誕生予定のきらぼし銀行に先駆け、今年4月に設立された、きらぼしコンサルティングの長岡光昭氏は、M&Aを含む事業承継などの相談に対して「真の顧客支援を展開したい」と宣言。不透明な事業環境、労務管理や情報システムへの対応などの課題に挑む処方箋をこのセミナーに期待した。

基調講演
モノの見方を変えてミル
〜ベトナムでの経験を通じて〜

齋藤 一之氏/きらぼしコンサルティング シニアコンサルタント

きらぼしコンサルティングの齋藤一之氏は、JICA専門家として派遣されたベトナムでの体験を基に、普段とは異なる見方を持つことの大切さを訴えた。日本人から見ると、ベトナム人は、交通ルール、時間、服装にルーズに見える。だが、互いに注意すれば交通事故は起きない、予定通りに着く電車などの交通手段がなく、また上司がスケジュールをコントロールする、服装と仕事内容は直接関係ない、という現地の前提を踏まえると、合理的な所もあると指摘。ベトナムの一人当たりGDPは、日本の5.2%しかないが、統計に表われていない経済があり、都市では数字の差ほどの生活水準の差はないとの見方をした。逆に、GDPが増えても雇用者報酬は増えない日本の現状を指摘。「GDPが本当に自社に関係があるのか。見方によって、モノの見え方は相対的に異なるので、経営者は経営の前提条件を考え、判断することが大事です」と示唆。「結果にくよくよせず、将来へ向けて前向きに対応する根拠のない楽観」を持つベトナムに学ぶところもあるという考えを示した。

課題解決講演
稼げる組織の『良くない管理』と『良い管理』

寺本 裕一氏/セールスフォース・ドットコム コマーシャル営業第2営業本部第2営業部 部長

セールスフォース・ドットコムの寺本裕一氏は「ビジネスの本質は再現性。どの営業担当も一定の成績を出せる仕組みを作ることが大事」と述べ、自身のマネジメント法を紹介した。まず、部下を評価する基準やルールを決め、互いの仕事をやりやすくするのが「良い管理」と定義。これをマネジャーの仕事の、プランニング、マネジメント、コーチング、リーダーシップの各要素にどう適用するかを説明した。プランニングは、目標達成のための具体的なアクションにするよう強調。営業担当ごとの受注状況も単なる「見える化」ではなく、数字の意味を伝えて自ら行動を起こさせる「見せる化」をすべきとした。また、解釈がブレないように売り上げ予想などの基準も明確化。目標と予想のギャップがある場合は、単に頑張れと言うのではなく、30件の電話をかけて3件の案件を発掘し、1件を受注するといった確率を踏まえて”因数分解”した具体的行動を指示する。進捗管理では、日報の代わりに、営業担当の行動量、目標進捗の現状、売り上げ予測を見て、異常値をチェック。たとえば、顧客との折衝履歴から、既存案件の行動と、新規商談の行動のバランスを見て、来月以降も持続的に仕事を回せるか、に目を配る。コーチングは社内SNSなどで成功・失敗の事例の共有を推奨した。

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