互いの存在を受け入れ、
より創造的な関係性を築く「共存学」

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ローカルからグローバルという空間的な広がりを縦軸に、環境、経済、社会という視点でさまざまな事象に切り込んでいく学際的な研究プロジェクトから、多彩な成果が報告されている。共存学。
現代社会が直面する課題に向けて國學院大學ならではの解を見出す挑戦は、ここにきて新たな段階を迎えた。
私たちの習慣や思想の中から、世界とつながる普遍性を紡ぎ出し、一方では世界と対比させながらその違いに光をあてる。
社会に貢献するという、大学に課せられた要請に応えるべく、共存学が深まっていく。

世界を視野にローカルを学びグローバルへ発信

かつてないほどの多大な課題に直面しているのが、現代に生きる私たちだ。きっかけとなる大きな出来事も頻発している。地球環境問題の深刻化のほか、米国の同時多発テロ、リーマンショック、アラブの春などがあげられるだろう。日本においても、東日本大震災からの再生の道筋は緒に就いたばかりだ。

むろん、人類もこれらの課題を前に手をこまねいていたわけではない。

たとえば、「共生」や「持続可能性」などをキーワードにするさまざまな取り組みも行われてきた。

多くの人々が「共生」や「持続可能性」を理想として掲げてはきたものの、現実の世界では、なかなかそれらが実際の形になっていない。たとえば、昨今の世界各地における、ナショナリズムの高揚による衝突などを見ると、むしろ後退しているようにも感じる。

國學院大學が「共存」という言葉を用い、「共存学」の研究に力を入れている理由はそこにある。理想型としての「共生」ではなく、その前段階としての「共存」に光をあてようとしている。

國學院大學では「共存」の概念として、「多様な人間集団(地域社会、国家、国際社会)の存在様式において、敵対的関係(他者の否認)ではなく、互いに存在を受け入れ(存在受容)、関係性を維持しつつ多様性構築の可能性を保持する様態」としている。

言い換えれば、「共存」とは、対立・敵対を回避しつつ、より創造的な関係性への契機を含み込んだ原初的様態を示している。