PPP・PFI新時代の幕開け
大型化・複雑化に対応する総合力
【法律事務所編】 森・濱田松本法律事務所
大規模な案件で必要不可欠となる
ファイナンスノウハウ
さらに、「大規模案件の成否を左右する資金調達の実現のためには、事業の本質を理解し、収益性とリスクを精緻に分析しなければなりません」と、プロジェクトファイナンスや事業証券化といった将来キャッシュフローに基づくファイナンス案件を専門とし、一兆円超規模の案件にも関与実績を持つ小林卓泰弁護士は指摘する。
日本の従来型のPFIでは公共セクターが事業者に一定のサービス料を支払うため、資金供給者は公共セクターのクレジットリスクを評価すれば足り、事業自体の収益性やリスクの分析は必ずしも厳格になされない部分があった。それに対し、「コンセッション方式の案件ではまさに事業自体から生み出される将来キャッシュフローを引き当てとするファイナンスが求められることとなります。そのため、これまで以上にシビアに事業そのものの収益性やリスクを分析しなければなりません」と小林弁護士は注意を促す。
また空港や水道といった大規模なインフラを整備・運営する事業では、従来のように金融機関からの借り入れだけでは十分な資金調達が困難である、と指摘するのは、Jリートを含むファンドの組成やエクイティファイナンスの分野で豊富なアドバイス実績を持つ藤津康彦弁護士だ。
「事業者側はリスクマネーを調達するために多様な資金調達方法を模索する必要が出てくるでしょう。デット、メザニン、エクイティを組み合わせて、さまざまな資金供給者側のニーズに応じられるようにすることが重要になります。もちろん外部から資金を呼び込むためには投資判断に足る情報開示をしなければなりません」と説明する。
藤津弁護士は、PPP・PFIの健全な発達には、リスクマネーの供給者となる投資家の存在と、インフラへの投資とその回収がなされる市場が発展することが必要であると説き、13年のPFI法改正に基づき設立される官民連携インフラファンドがインフラ投資市場の創設・拡大に寄与することに期待を寄せる。