官民WIN・WINの価値創造型PFI・PPPを
トータルに支援
【アドバイザリーサービス編】 パシフィックコンサルタンツ
収益施設の併設など利用料金で費用を
回収するPFI事業
二つ目の事例は、収益施設の併設など、利用料金で費用を回収するPFI事業の例だ。
パシフィックコンサルタンツが黒部市のアドバイザーとして関与したプロジェクト「富山県黒部市下水道バイオマスエネルギー利活用施設」は、下水道汚泥、ディスポーザー由来生ゴミ、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥、事業系食品残渣(近隣飲料メーカー工場のコーヒーかす)を混合処理する施設で、処理に伴い発生するガスを燃料とする発電施設をBTO方式(Build Transfer Operate 方式・サービス購入型)のPFIで建設し、運営するものである。事業期間は15年間で、11年5月に竣工し、稼働を開始している。
従来黒部市では、下水道汚泥を脱水汚泥とし、セメント会社などへ処分委託していたが、同施設の稼働により処分費の削減やCO2排出量の削減が可能になったと言う。
同プロジェクトの特色は、サービス購入型を基本としながら民間事業者による提案事業の収入があること。「特に追加処理対象物の受け入れや、乾燥物の有効利用法について、民間事業者の提案事項としているところがポイントです」(下長部長)。
公的不動産の有効活用など
民間の提案を生かしたPPP事業
PFI・PPP市場の拡大に向け期待が高まっているのが、公的不動産の有効活用を含めたPPP事業の推進である。付加価値の高い事業を民間が提案することで、民間の事業収益機会を拡大しつつ、公共の財政負担を抑えることができる。
パシフィックコンサルタンツが公共側のニーズを踏まえて事業スキームをアドバイスした「養徳学舎整備事業」は、まさにその好例だ。同事業では、奈良県が東京都文京区に保有する学生寮「養徳学舎」の建て替えについて、余剰地を活用することで公共側が新たな財源負担なく整備することを可能にした。具体的には、余剰地の定期借地権権利金収入を、公共施設(学生寮)の再整備費用に充てて事実上相殺、用地(資産)を売却することなく保有し続け、定期借地による民間賃貸住宅部分の借地料が得られると言うものだ。
「都市部において低容積で利用されている公共施設は珍しくありません。他の自治体でも同様の事業スキームが活用できるのではないかと考えています」と下長部長は説明する。
パシフィックコンサルタンツは、施設の建設や維持管理に不可欠な技術ノウハウはもとより、民間企業にとって収益性が高く魅力的な事業の創出につながる仕組みや契約スキームづくりなど、ワンストップで支援が可能だ。新たな取り組みを目指す自治体や民間事業者のパートナーとしてふさわしい存在と言える。
最後に下長部長は、「官民がリスクを適切に分担しWIN・WINになること、単にコストを抑えるだけでなく、“バリューアップ”につなげること。これこそがPFI・PPPの今後めざすべき理想的な姿です」と語る。数多くのプロジェクトにかかわる同社ならではの、明確で重みのある言葉だ。