現場からドライブする「働き方改革」 働き方改革の本質に迫る、仕組みづくり

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講演
「働き方改革」を現場からドライブする、
次世代ソリューション「知話輪」

山本孝昭氏/ドリーム・アーツ代表取締役社長

良質なアナログ時間を創出するためのITというコンセプトを掲げるドリーム・アーツの山本孝昭氏は、本質的な働き方改革の実現には「根本の生産性を向上させる必要があります」と指摘した。そのために取り組むべき具体的な課題として、決裁などを迅速に処理する「意思決定の在庫削減」、モバイル機器活用による「すき間時間の有効活用」「社内メールの削減」といった業務のやり方の効率化に加え、業務そのものを見直す「業務の断捨離」「人と業務の新結合」の五つを挙げた。

同社は、これらの課題解決を目指したクラウドサービス「知話輪(ちわわ)」をリリース。メールに代わるコミュニケーションツールとして、時間軸で整理したビジネスチャットを搭載、リアルタイムでの情報、意識レベルの共有も目指す。「生産性の向上のためには止まっている時間を減らすことが大事」とのことから、社内に仕事の停滞をもたらしかねない稟議決裁の滞留を避けるため、モバイルで、いつでも手軽に承認できる仕組みを整えた。さらに、決裁滞留時間の統計データを見える化して、決裁を促す。自然に対話できるAIを利用して、必要な情報を適切なタイミングで通知・リコメンドしてもらったり、今すぐ欲しい情報を引き出すことができる業務支援機能も充実。特に、意思決定迅速化やメール数削減、すき間時間の活用は速効性の高い成果が得られる。山本氏は「知話輪から得られる人とのつながり、業務処理時間などのデータも活用し、業務の断捨離、新結合を促したい」と述べた。

講演
これからの「働き方改革」の論点と課題
〜働き方改革は仕事改革。ムダ・過剰にメスを入れる〜

遠藤 功氏/ローランド・ベルガー会長 ドリーム・アーツ社外取締役

良品計画の社外取締役も務める遠藤功氏は、金井氏の講演を受けて「高い生産性の大前提は、社員の目が輝いていること。しかし、日本の会社には価値や意味のない仕事が多すぎる」と述べた。放っておくと、仕事は、肥大化、個別化、陳腐化するため「継続的な断捨離が不可欠」と仕事改革を訴えた。

改革のポイントには、意思決定の滞留の撲滅、ムダな仕事の一掃、過剰な品質・サービスの削減――の3点を指摘。最近、経営トップの意思決定は早くなったが、そこに至るまでの根回しなどに中間管理職が時間をかけ、決定を遅らせているとして、ミドルの仕事のやり方を変えるべきとした。

成功事例として、3児の母の30代女性を人事部長に登用し、彼女自身の経験に基づく判断によって矢継ぎ早に変革したケースを紹介。トップが、人事や評価によって社内に覚悟を示す重要性を強調した。

ムダの一掃は、仕事を、付加価値を生む、価値は生まないが必要、明らかにムダ、の三つに大別。人によって考え方が異なるムダについて共通認識できるよう、ムダとは何かをきちんと定義すべきとした。

3点目の過剰については、対価も得られないのに、顧客は喜び、現場も良かれと思っているため、特になくすことが難しい。品質やサービスについて、個別に判断せず、明確な基準・ポリシーを定め、それに基づくオペレーションを徹底することを求めた。

付加価値のない業務は、まず排除を検討し、それができなければ統合、代替、簡素化の順で対処するECRS(改善の4原則)の手法や、仕事を科学(計測、可視化)するアプローチなど、業務見直し法にも言及。「仕事の断捨離は、人と仕事をつなぎ直して生産性を高め、新たな価値を生み出す『新結合』に向けた第一歩。『生きた会社』を取り戻してほしい」と呼びかけた。

フォローアップQ&Aで、生産性向上に向けた現場業務の定量分析について問われた遠藤氏は「現場に手間のかかる定量化を求めるのは、やらされ感からのスタートにならざるを得ない」とした上で「やったら変わったという成功体験を積み上げるしかない。人の採用がますます困難となる状況下では、仕事の断捨離をやり続ける愚直さが大事」とアドバイス。

ホワイトカラーの仕事の付加価値は計測が難しいという質問には「企画管理は人が多すぎると生産性が下がる。人の断捨離も検討すべき」と持論を展開した。

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