現場からドライブする「働き方改革」 働き方改革の本質に迫る、仕組みづくり
共催・ドリーム・アーツ 東洋経済新報社
講演
良品計画(MUJI)が体現する「働き方改革」の秘訣
社員にとって良い会社─企業理念を
中心に据えた「役に立ちたい」経営
「社員にとって良い会社」を目指し、「働きがいのある会社」ランキングでトップ10にも入る、良品計画の金井政明氏は「思想と理念に共感すれば、仕事は生活のためだけではないことに気付けます」と述べ、社員が生き生きと生産性の高い働き方を実現する上で重要な企業理念の共有について話した。
無印良品は、あこがれの演出で人々を駆り立てる消費社会へのアンチテーゼとして、自分らしく暮らしたい生活者に選ばれる商品を販売するというコンセプトから始まった。「役に立つ」という大戦略の下、「傲慢で不安に満ちた現代の世界」に向かって、繊細で調和の取れた「感じ良いくらし」を体現する製品を発信している。
2000年代初めに「大企業病に取りつかれ、思想が薄まった」結果、危機を迎えたが、毎日の朝のあいさつ、掃除を点検し、徹底することから企業風土の改革に着手。仕事の手順を「基準書」で明文化する一方、つねに改定を続ける業務改善。部下のスキルを見える化し、中長期的に必要なスキルを伸ばす人材育成。高い定時退社率などの働きやすく「安心してチャレンジできる会社」を実現。会長、社長に反対意見を述べることをルール化した会議の開設などで、風通しの良い組織に立て直した。
高齢化、人口減が進むこれからの日本では「過去の手法は役に立たないが、人の役に立つことを考えることはできる」という金井氏は、地域の課題解決活動にも関与。地域のために献身する人々から刺激を受けた社員が、サラリーマン意識を変える教育効果にも期待しながら「良心とクリエイティブ、共同体意識を持った会社」を目指す意気込みを語った。