作業を自動化するAutoブラウザ名人
「毎日手作業でデータの大量のダウンロードを行っていて、その時間と労力が大きな課題となっていました」
こう語るのは、サッポロビール営業本部流通統括部の髙雄康行氏。髙雄氏は、家庭用などリテール部門における戦略の策定や、営業部門における提案活動の支援などを行っている。なぜサッポロビールのリテール部門が大量のダウンロードをするのか。
「小売業様によるPOSデータの開示は2000年初頭に始まり、昨今、多くの小売業様がPOSデータを開示されています。当社では現在百数十社の小売業様からPOSデータを開示いただいており、そのデータを分析して売り場づくりの提案や自社商品の開発などに生かしています。このデータは消費者の動向がわかるとても貴重なものなので、利用しない手はありません」(髙雄氏)
POSデータの開示は一般的に、各小売企業の専用Webサイトを利用して行われる。サッポロビールのようにデータの提供を受ける企業は、そのサイトにログインしてダウンロードすることになる。
営業本部 流通統括部
家庭用戦略グループ
シニアマネージャー
髙雄 康行
「POSデータは、早いものだと翌日に反映されますので、当社もそれを定期的にダウンロードしなければなりません。開示企業が増えるにつれて負担が増し、何か手はないかと模索していました」(髙雄氏)
1社1週分のPOSデータをダウンロードするには企業によって数分~1時間かかり、小売企業の数だけダウンロードの作業をする必要がある。POSデータの開示方法は小売企業ごとに異なっており、1回の操作で複数カテゴリー・複数期間を同時にダウンロードできるサイトもあれば、カテゴリー別・日別に作業しなければならないサイトも多いという。たとえば、1週間分のPOSデータを抽出するのに二十数カテゴリー×7日間で約160回もの操作が必要な企業もあった。サッポロビールには、ビールをはじめとして、チューハイ・カクテル、ワイン、焼酎、梅酒、洋酒など幅広いラインナップがあるため、ダウンロードする項目も多いのだ。
「ダウンロード作業はグループ会社にアウトソーシングしていたのですが、コストがかかることに加え、単純作業を長時間続けることによるモチベーションの低下や集中力の維持も課題でした。実際に、操作ミスも発生していました」(髙雄氏)
そこで、サッポロビールが導入したのが、「Autoブラウザ名人」というソフトウエアだ。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれる自動化ツールの一種で、Webサイトで人間が行っていたパソコン操作をソフトウエアに代行させることができる。
「このソフトの導入により、自動的にPOSデータのダウンロードが可能になりました。また、労力がかかることからこれまで1週間に一度しかダウンロードしていなかったカテゴリーのデータも毎日ダウンロードできるようになり、タイムリーな分析と提案が可能になりました」(髙雄氏)
髙雄氏によれば、「Autoブラウザ名人」の導入により、労働時間の削減効果は年間約5700時間、金額換算で約1100万円にも達したという。
業務の棚卸しをすれば改善ポイントが見える
「Autoブラウザ名人」を開発・販売しているのは、長年、受発注や物流業務システムを手がけてきたユーザックシステムだ。同社は15年ほど前から業務の自動化ソフトに力を入れており、ブラウザ操作自動化ソフトの「Autoブラウザ名人」、メール操作自動化ソフト「Autoメール名人」などのRPAソリューションはすでに600社以上で活用されている。導入企業も、メーカー、商社、サービス、金融、官公庁と多種多様だ。

自動化ソフトを簡単に説明しておこう。たとえば、「Autoブラウザ名人」の場合、(1)自動化したい操作を実際に行って記録する (2)必要に応じて(1)の操作を編集 (3)スケジュールを設定し、実行。ここまで設定すれば、あとは24時間365日ソフトウエアが自動で作業してくれる。
取締役 マーケティング本部長
小ノ島尚博
ユーザックシステム取締役の小ノ島尚博氏は「人が手作業で行っている業務のうち、自動化できるものは意外と多いものです。業務の棚卸しをすると改善点が見えてきます」と話す。
これはすべてのプロセスを自動化するような大げさな話ではない。ボトルネックとなっている部分だけを自動化するということだ。これにより、大幅なコスト削減や品質向上につながる可能性もあるという。
「Autoブラウザ名人」は、1年ライセンスで16万円(税別)とリーズナブルなので導入もしやすい。さらに、高度なプログラムの知識がなくても自動化を設定できるので、すぐに活用できる。一部の部門や業務でテスト導入することもできるだろう。
「サッポロビール様のように、ルーチン業務を見直し作業時間を削減することで本業に専念することができるようになります。働き方改革の実現にも貢献します」と小ノ島氏が語るのにも納得がいく。
いま、付加価値の高い働き方が、企業規模の大小を問わず求められている。ユーザックシステムのソフトはその一助となりそうだ。