有料会員登録

「RPA」は、すでに人を代替し始めている

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
ITの進化により、20年後には相当数の職種がなくなると言われているが、すでにホワイトカラーの仕事をロボットが代替し始めている。複数のアプリケーションを駆使して、ミスなく24時間働き続けるRPA=ロボティック・プロセス・オートメーションだ。ただ、これは人間の仕事を奪うというより、人間が人間にしかできない仕事をするために雑用をこなしてくれる、力強い味方と考えたほうがよさそうだ。

複数のアプリを操作し作業報告メールを送信

――「RPA」という言葉に触れる機会が増えています。そもそも「RPA」とはどういったものなのでしょうか。

信國◉「RPA(Robotic Process Automation)」は、「ロボット」という名前ではありますが、工場の生産ラインで動いているようなロボットではなく、ソフトウエアです。

RPAは、人間がPC上で担ってきた業務を自動化し、代替します。ただ、自動化と言ってもたとえば一つのアプリケーションの連続した入力を自動化するだけであれば、マクロのような機能もありますし、そのアプリケーションを発展させればできることです。

そうではなく、複数のアプリケーションをまたがって処理される「業務プロセス」を自動化できるのがRPAの特長です。

当社で導入した業務の受注プロセス管理では、バックオフィス部門が特定のメールを受け取ると、その本文や添付ファイルの内容を、表計算ソフトやERPなど複数の業務システムを利用してデータ処理し、最後に完了報告のメールを送るという一連のステップを自動で行います。――RPAは、どのような業務に適していますか。また、導入することにより、どのような効果が期待できるのでしょうか。

信國 泰
Yasushi Nobukuni
デロイト トーマツ
コンサルティング
執行役員
ビジネスモデルトランスフォーメーションサービスの責任者。サプライチェーンマネジメントの分野で数多くのプロジェクトを手掛けている

信國◉RPAはルールに基づいて定型的な作業を繰り返すような業務に適しています。特に、前述したように複数のアプリケーションをまたがって処理する業務プロセスを自動化したい時にRPAが相応しいと言えます。

RPAを導入することでさまざまな効果が得られると考えられます。まずは、品質。RPAは正確で間違いません。また、大量の作業を高速でこなすことができます。さらに24時間365日、文句も言わずに働いてくれます。

具体的な工数も削減できます。当社では先ほど紹介したプロセスの導入により、この業務に携わっていたバックオフィスの10人分の仕事のうち、約2人分の仕事が削減できました。当社がサポートを行った企業では、40%から80%も工数が削減できたところがあります。なかには、100%の削減、すなわち、その業務をすべてRPAに置き換えたところもあります。

人口減少や働き方改革の観点からも期待が高まる

――RPAの導入により、人件費の削減も期待できるということでしょうか。

信國◉少なくとも日本ではRPA導入の目的と効果は人件費の削減とは別の点にあると考えます。RPAの効果とは、端的に言えば、人間が人間にしかできない付加価値の高い仕事に、時間を使えるようになることです。

いま日本では少子高齢化が進み、労働力人口の減少が現実的な問題になっています。すでに、一部の外食や小売業、運送会社などでは、人手不足が喫緊の課題です。一方で、政府が働き方改革を推進していることなどを受けて、長時間労働の是正やホワイトカラーの生産性向上が求められるようになっています。

これらの課題解決にRPAが有効な場合が多くあるということです。複数のアプリケーションをまたぐとはいえ、RPAができる仕事は、人間にとっては単純な反復作業です。RPAに単純作業を任せ、貴重な人材にはもっと生産性の高い仕事に集中してもらうべきでしょう。そうでもしないと、従業員のモチベーション維持や人材の採用などに大きな影響を及ぼすだけでなく、経営上のリスクにもなりかねません。

――企業が直面する課題の解決を含め、RPAにはさまざまな効果が期待できそうです。日本企業の関心は高まっているのでしょうか。

信國◉RPAの概念自体は決して新しいものではなく、4、5年程前から、いくつかのソフトウエアはありました。最近になって急に企業が動き出した理由としては、まずオフショア拠点の人件費の高騰が挙げられます。これまでは、コストを下げるためにインドや中国などのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を利用していた企業が、なかなかコストメリットが出せなくなっています。

さらに前述したような少子高齢化は、これまでは市場の成熟という観点で語られていたのですが、ここにきて労働力不足という問題が現実のものになってきました。当社だけでもこの半年間で300社以上からRPAに関する問い合わせがあり、すでに数十社のプロジェクトが稼働しています。一気に関心度が高まっています。そこで、大切なのは、何のためにRPAを導入するのか、RPAを導入することで空いた時間で、人が何をするのかということです。

RPAは、経営者が率先して取り組むべき

――その点ではRPAの導入は、一部門だけの問題ではなく、経営者にとっても率先して取り組むべきテーマだと言えそうです。

信國◉そのとおりです。RPAの導入を単なるITの導入の話ではなく経営戦略に基づくオペレーション/組織改革ととらえるべきです。そのため「わが社は今後、何を強みにしていくべきか」という経営戦略の方向が重要になります。人材の採用、育成なども変わるでしょう。これらを意思決定するのはまさに経営者の役割です。

――RPAや人工知能(AI)が普及することで、ホワイトカラーの仕事が奪われるのではないかという声もあります。将来像をどう描いていますか。

信國◉現在のRPAは電子データの収集やルールに従った処理などを得意としています。今後は画像認識や音声認識、紙に書かれた手書きのデータなどの認識のほか、ルールにない処理や機械学習などのさまざまな機能とRPAの組み合わせが増えてくると考えられます。

人は、ルールに基づいた反復作業ではロボットにかないません。一方で、高い志をもってチームをまとめ事業を推進したり、前例のないことに意思決定をしたりするといった、人間でなければできない仕事は必ず残ります。また、RPAの普及により、これらのテクノロジーに精通し、企業とともに改革を進めていくコンサルタントやエンジニアが数万人という単位で必要になります。雇用市場の活性化という点でも期待できます。

企業にはぜひ、RPAを活用し、「わが社でなければできないこと」「本当にやりたいこと」に時間を振り向け、競争力を向上していただきたいと願っています。