「RPA」は、すでに人を代替し始めている
複数のアプリを操作し作業報告メールを送信
――「RPA」という言葉に触れる機会が増えています。そもそも「RPA」とはどういったものなのでしょうか。
信國◉「RPA(Robotic Process Automation)」は、「ロボット」という名前ではありますが、工場の生産ラインで動いているようなロボットではなく、ソフトウエアです。
RPAは、人間がPC上で担ってきた業務を自動化し、代替します。ただ、自動化と言ってもたとえば一つのアプリケーションの連続した入力を自動化するだけであれば、マクロのような機能もありますし、そのアプリケーションを発展させればできることです。
そうではなく、複数のアプリケーションをまたがって処理される「業務プロセス」を自動化できるのがRPAの特長です。
当社で導入した業務の受注プロセス管理では、バックオフィス部門が特定のメールを受け取ると、その本文や添付ファイルの内容を、表計算ソフトやERPなど複数の業務システムを利用してデータ処理し、最後に完了報告のメールを送るという一連のステップを自動で行います。――RPAは、どのような業務に適していますか。また、導入することにより、どのような効果が期待できるのでしょうか。
信國◉RPAはルールに基づいて定型的な作業を繰り返すような業務に適しています。特に、前述したように複数のアプリケーションをまたがって処理する業務プロセスを自動化したい時にRPAが相応しいと言えます。
RPAを導入することでさまざまな効果が得られると考えられます。まずは、品質。RPAは正確で間違いません。また、大量の作業を高速でこなすことができます。さらに24時間365日、文句も言わずに働いてくれます。
人口減少や働き方改革の観点からも期待が高まる
――RPAの導入により、人件費の削減も期待できるということでしょうか。
信國◉少なくとも日本ではRPA導入の目的と効果は人件費の削減とは別の点にあると考えます。RPAの効果とは、端的に言えば、人間が人間にしかできない付加価値の高い仕事に、時間を使えるようになることです。
いま日本では少子高齢化が進み、労働力人口の減少が現実的な問題になっています。すでに、一部の外食や小売業、運送会社などでは、人手不足が喫緊の課題です。一方で、政府が働き方改革を推進していることなどを受けて、長時間労働の是正やホワイトカラーの生産性向上が求められるようになっています。