デジタルマーケティングフォーラム2013 経営課題を解決するデジタル マーケティングの最新動向
【特別講演Ⅱ】
ビッグデータ時代におけるマーケティング最前線
ビッグデータ活用に取り組むヤフー・ジャパンの友澤大輔氏は「ビッグデータを集めることの本質は、昔からマーケティングがやろうとしてきた“ユーザーの意図”の収集にあります」と語った。ビッグデータで広告のムダな部分を把握できるようになることにより、マーケターの主観的判断で決める施策で、ユーザーを強引に動かすことに傾きがちだった従来のマーケティングは変化を迫られている。
ビッグデータを使ったマーケティングの方法について友澤氏は、まずデータを集めて導き出した客観的事実から施策を立て、反応したユーザーのデータを分析して、施策を修正する・・・という「仮説探求型のアプローチが有効」と指摘した。
ヤフー・ジャパンでは、ユーザーを追い回して、強制的に広告を見せるターゲティングではなく、ユーザーの行動を予測し、ユーザーが見たいと望む情報と、ビジネス側の意思を適合させた内容の広告を表示する手法を推進。友澤氏は「両者のエンゲージメントサイクルを最適化することで、高い広告効果につながる」と言う。
月間PV507億(2013年1月~3月)、秒間アクセス最大5万のユーザーを抱え、自動車、旅行など100以上のサービスを提供するヤフー・ジャパンは、各種サービスのデータを横断的に見る取り組みも始めており、友澤氏は「マルチビッグデータカンパニーとして、広くサービスを提供していきたい」と話した。
【特別講演Ⅲ】
顧客をパートナーとするデジタル
コミュニケーション
花王の石井龍夫氏は「メディア環境やお客様の変化で、広告のあり方も変わることを考えなければならない」と、ソーシャルメディアなどを使ったマーケティングの新たな取り組みについて語った。
従来の広告は、認知を高め、興味・欲求を喚起し、店頭での購買につなげることを目指していた。しかし今は、顧客が認知し興味を持つと、自ら情報を収集して他製品との比較検討を行い、商品の評判を確認し、納得したうえで購買する流れになっている。
「広告で商品アピールをするだけではなく、お客様一人ひとりを情報発信者として捉え、企業・商品のファンになってもらうコミュニケーションを考えるべきです」と石井氏は話す。
花王では、インターネットを通じて双方向コミュニケーションを図る「ソーシャル化」が進む現状を踏まえ、コミュニティサイトの拡充を進めている。
一人目の赤ちゃんを持つお母さんを対象にしたコミュニティで、「パパ」というワードの出現率が高まっていることを受け、紙おむつのCMに男性を起用。ソーシャルメディアを使ったウォーキングを応援するキャンペーンがトクホ飲料の売上アップにつながった、などの実例を紹介した石井氏は「企業は、お客様をパートナーにしてブランドを作る時代に来ているのです」と訴えた。