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デジタルマーケティングフォーラム2013

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
インターネット広告技術の進化や、ビッグデータへの注目度の向上、デバイスの多様化によって、変化を加速させている企業のデジタルマーケティングのあり方をテーマにした「Digital Marketing Forum 2013」が7月4日、東京・千代田区で開かれた。会場を埋めた参加者は、デジタルマーケティングの最新動向や活用事例について熱心に耳を傾けた。
【主催】東洋経済新報社 【協賛】アイレップ

【基調講演】
電子行政の推進に関する取組と展望

内閣情報通信政策監
(政府CIO)
遠藤 紘一氏

内閣官房に新設された内閣情報通信政策監に就任した遠藤紘一氏は、政府の新IT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」について説明。「電子行政にとどまらず、ITが成長戦略や災害対策、社会問題解決に貢献できるようにしたい」と述べた。遠藤氏は、政府・自治体が保有するデータを公開する「オープンデータ」と、「ビッグデータ」「IT」を活かしたビジネス創出の可能性を強調した。

その例として、篤農家のノウハウとセンサー技術を組み合わせ、新規参入した若手でも高品質な商品が作れるようにするIT農業をはじめ、治療歴などのビッグデータを使った健康増進策の立案や、センサーでひずみなどの異常を検知するインフラ維持管理、カメラやセンシング技術で出会い頭の事故をなくす安全な道路交通・・・などを挙げて「民間のみなさんと一緒に進めたい」と述べた。

今後は、ITを使える人と使えない人の格差を埋める人材育成などの施策が必要になる一方で、マイナンバー制度導入により本当に必要とする人に生活保護などを提供するプッシュ型の行政サービスも可能になる。従来の電子政府では、ほとんど使われない手続きまで電子化していたことを指摘した遠藤氏は「国・地方の行政には、お客様視点やしっかりした事前準備など、民間なら当たり前のことが求められます。税金のムダを許さないという視点で進めたい」と語った。

【特別講演Ⅰ】
企業と顧客をつなぐ
デジタルマーケティングの現実

アイレップ
代表取締役社長
紺野 俊介氏

インターネットの運用型広告でトップシェアを持つアイレップの紺野俊介氏は「デジタルを含むマーケティングではなく、デジタル社会に効くマーケティングが何かを考えなければなりません」と訴えた。

インターネットはテレビに次ぐ第2の広告媒体になったが、双方向的なネット情報は管理が困難で、ネガティブなニュースや情報が検索結果やサジェストキーワードに示され、顧客との接点になる可能性もある。このため、インターネットでのレピュテーションをモニタリング、管理する動きも始まっている。

また、デバイスの多様化に伴い、店頭でスマートフォンを使って商品の口コミや実勢価格などの情報を調べるユーザーも増えている。紺野氏は「ユーザーが能動的に利用するインターネットでは、ユーザーを把握し、望んでいる情報を適切に配信する必要があります」と強調した。

テクノロジーの進化で、初回訪問からの経過期間やサイト内での行動を分析・ターゲティングし、そこに天気や曜日などの環境条件を合わせて情報を個別に提供する“狭告”も可能になった。こうした分析の基となるデータを統合的に管理するデータマネジメントプラットフォーム(DMP)も注目され始めている。紺野氏は「今は、新しいマーケティング施策導入に向けた取り組みを始める元年」と述べて、企業に変化への決断を促した。

【特別講演Ⅱ】
ビッグデータ時代におけるマーケティング最前線

ヤフー
マーケティング
イノベーション室室長
友澤 大輔氏

ビッグデータ活用に取り組むヤフー・ジャパンの友澤大輔氏は「ビッグデータを集めることの本質は、昔からマーケティングがやろうとしてきた“ユーザーの意図”の収集にあります」と語った。ビッグデータで広告のムダな部分を把握できるようになることにより、マーケターの主観的判断で決める施策で、ユーザーを強引に動かすことに傾きがちだった従来のマーケティングは変化を迫られている。

ビッグデータを使ったマーケティングの方法について友澤氏は、まずデータを集めて導き出した客観的事実から施策を立て、反応したユーザーのデータを分析して、施策を修正する・・・という「仮説探求型のアプローチが有効」と指摘した。

ヤフー・ジャパンでは、ユーザーを追い回して、強制的に広告を見せるターゲティングではなく、ユーザーの行動を予測し、ユーザーが見たいと望む情報と、ビジネス側の意思を適合させた内容の広告を表示する手法を推進。友澤氏は「両者のエンゲージメントサイクルを最適化することで、高い広告効果につながる」と言う。

月間PV507億(2013年1月~3月)、秒間アクセス最大5万のユーザーを抱え、自動車、旅行など100以上のサービスを提供するヤフー・ジャパンは、各種サービスのデータを横断的に見る取り組みも始めており、友澤氏は「マルチビッグデータカンパニーとして、広くサービスを提供していきたい」と話した。

【特別講演Ⅲ】
顧客をパートナーとするデジタル
コミュニケーション

花王
デジタルコミュニケーションセンター
センター長
石井 龍夫氏

花王の石井龍夫氏は「メディア環境やお客様の変化で、広告のあり方も変わることを考えなければならない」と、ソーシャルメディアなどを使ったマーケティングの新たな取り組みについて語った。

従来の広告は、認知を高め、興味・欲求を喚起し、店頭での購買につなげることを目指していた。しかし今は、顧客が認知し興味を持つと、自ら情報を収集して他製品との比較検討を行い、商品の評判を確認し、納得したうえで購買する流れになっている。

「広告で商品アピールをするだけではなく、お客様一人ひとりを情報発信者として捉え、企業・商品のファンになってもらうコミュニケーションを考えるべきです」と石井氏は話す。

花王では、インターネットを通じて双方向コミュニケーションを図る「ソーシャル化」が進む現状を踏まえ、コミュニティサイトの拡充を進めている。

一人目の赤ちゃんを持つお母さんを対象にしたコミュニティで、「パパ」というワードの出現率が高まっていることを受け、紙おむつのCMに男性を起用。ソーシャルメディアを使ったウォーキングを応援するキャンペーンがトクホ飲料の売上アップにつながった、などの実例を紹介した石井氏は「企業は、お客様をパートナーにしてブランドを作る時代に来ているのです」と訴えた。