みずほ銀行が34歳の支店長を抜擢した理由 能力のある人が活躍できる組織を目指し改革
34歳の最年少支店長は
中途入行9年目
「当行には課長公募制度や支店長公募制度があります。若手人材にも積極的にチャンスを与えてくれる文化があるのです」と語るのは、この4月、みずほ銀行玉川学園前支店長に就任した水江悟氏だ。就任当時34歳、同行では最年少の支店長である。
また水江氏が中途入行であることも注目すべきだろう。前職は証券会社勤務で、2008年に同行に入行。入行9年目で支店長に抜擢されるのも異例のことだ。
水江氏はみずほ銀行に入行後、首都圏の支店で個人営業(リテール)に携わってきた。支店長になったのも早いが、前職の課長になったのも早い。入行5年目には課長公募制度に応募し、課長に選ばれている。
「課長公募制度を受けたときにも、私がほぼ最年少でした。『ダメ元でも挑戦することが大事だ』とアドバイスしてくれた人もいました」と振り返るように、まさに前例のほとんどない人事運営だったのだ。その期待に応えるように、水江氏は配属支店で実績を上げ、そのわずか4年後に、支店長公募制度に応募し登用された。
多くの先輩や上司が
背中を後押ししてくれる文化
「実は入行したときから、支店長など、組織のマネジメントができる職種に興味を持っていました」と水江氏は語る。
前職の証券会社でも営業成績はよかったが、そのときから個人の力には限界を感じる一方でチームの力を合わせることで、より大きな仕事ができることを感じていたという。
「当行に入行して、改めてそのことを痛感しました。ある支店長からは、自分が携わっている目先の仕事ではなく、一つ上の職位の視点を持つこと、たとえば課長代理なら課長の、課長なら支店長の視点で考えることの大切さを教わりました。課長や支店長の公募制度に応募するときにも、先輩や上司がいろいろとアドバイスや応援をしてくれました」(水江氏)
みずほ銀行らしい、挑戦を推奨する組織の風土が最年少支店長を生み出したともいえる。
水江氏が就任した玉川学園前支店は2011年5月、リテール強化を目的に設立したばかりの新しい支店だ。
「まだ地域のお客さまのニーズに応え切れていません。営業部門はもとより、事務のスタッフまで、文字どおりチームの力で支店の存在感を高めていきたいと思っています。また、私が先輩や上司から応援していただいたように、今度は私が若い社員の成長をサポートすることで、活躍の機会を提供したいと思います」と水江氏は力を込める。
過去の旧習や不文律をなくす
「人事運営の抜本的な改革」
みずほ銀行では2016年にも、北海道の釧路支店で当時35歳の支店長が誕生している。背景にはどのような狙いがあるのか。みずほ銀行の持ち株会社である、みずほフィナンシャルグループ(FG) グローバル人事業務部長 執行役員の宇田真也氏はつぎのように語る。