変革期における企業の成長戦略への挑戦 新たなイノベーションと価値向上に挑む、
これからの事業成長の在りかた

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IoT、ビッグデータなどテクノロジー進化から始まったインダストリー4.0(第四次産業革命)、そして訪日外国人観光客の急増に伴うインバウンドビジネスや、クリエイティブ産業を中心に日本の魅力を海外へ発信するクール・ジャパンの取り組みが注目される2017年。この変革期に、イノベーション創出を続けている企業から成長戦略を聞く「IRフォーラム2017」が4月13日に東京・千代田区で開かれた。
主催:東洋経済新報社 特別協賛:Oakキャピタル

特別講演1
企業の再生と成長
〜赤字会社を世界No.1に〜

タニタ前代表取締役社長/
経営コンサルタント
谷田大輔

家庭用脂肪計付ヘルスメーター開発で、赤字会社だったタニタを発展に導いた同社前社長の谷田大輔氏は、単なる体重計の会社から健康のバロメーターとしての体重、さらに体脂肪に着目した健康の会社へ、というコンセプトの変遷を振り返り、販路構築が容易になるオンリーワン戦略の重要性を強調した。今後の成熟の時代に向けては、業界を俯瞰して10年後を予測し、社会問題を解決する事業に注目しながら、コンセプトを変え、販売の伸長を重視することで「事業は成長する方向に変わるでしょう」と訴えた。

パネルディスカッション1
インダストリー4.0(第四次産業革命)

パネリスト
ピクセラ
取締役最高執行責任者(COO)
栗原良和
ホットリンク
代表取締役社長CEO
内山幸樹
ウインテスト
代表取締役社長
奈良彰治
モデレーター
フリーキャスター
叶内文子

パソコンやスマートフォン向けテレビ放送受信機など独創性の高い製品を開発してきたピクセラの栗原良和氏は、4K放送の受信機を中心に、家庭のドアや窓のセンサー、家電製品のIoTデータを使い、エアコンなどの機器を自動制御する「スマート・ホーム・ハブ構想」を紹介した。同社は、累積販売約300万台のテレビ受信機をはじめ、ネットに接続する同社機器からビッグデータを収集できる強みがあり「参照設計通りにつくる新興国メーカーとは違い、生活を豊かにする付加価値から利益を得ていきます」と話した。

ソーシャルメディアを軸にビッグデータ解析のサービスを提供するホットリンクの内山幸樹氏は「海外の人々の考えや最新動向をいち早くとらえれば、商品開発やプロモーションに生かせます」と指摘した。同社では、インバウンドビジネス向けマーケティング支援や、企業の風評リスク対策にデータ分析を活用。中国版のSNS「ウェイボー」のデータに関するライセンスを持つ米社を買収するなど、データの大元を掌握する戦略を展開。変革の時代に向けて「人類の進化に貢献できるサービスを打ち出したい」と語った。

半導体検査装置の開発販売を手掛けるウインテストの奈良彰治氏は、IoT、ロボット、電気自動車関連へ事業領域を拡大する計画を示した。強みの半導体検査技術とIoTを組み合わせることで、遠隔地にあって人による監視が難しい太陽光発電所の管理・保守支援に参入を予定。スマートウォッチなどから得られる心拍数などのデータを人工知能で解析するヘルスケア事業の開発も進めている。「得意のセンシングなど既存技術を新たなビジネスにつなげ、特許を活用しながら有利な環境で事業展開していきたい」との考えを示した。

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