セミナーレポート

多様な社員が活きる組織のために ~ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と活用)~

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P&Gが、経営戦略の一環として掲げる「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と活用)」のノウハウを社外へ共有する「P&G『ダイバーシティ&インクルージョン』ワークショップ」が3月13日に東京・中央区で開かれた。一般企業の人事、ダイバーシティ推進担当者らが参加。日本企業の喫緊の課題とされる多様な人材の活用について考えた。
主催 P&G
協力 東洋経済新報社

社員がその能力をフルに発揮できる環境づくりを目指し、P&Gは25年前の1992年から女性活躍推進を開始。その取り組みは、女性に限らず年齢、国籍などのさまざまな多様性を広げるダイバーシティ推進、さらには、それらの多様性をビジネスに積極的に活用しようとするダイバーシティ&インクルージョンへと進化を遂げてきた。2016年からは、この取り組みを広く社外へ共有する啓発プロジェクトをスタート。独自に開発した研修プログラムを社外に無償提供している。この日は、現場の要となる管理職向け研修のエッセンスを伝えた。

基調講演
ダイバーシティはどこへ向かうのか?
〜ダイバーシティ時代の管理職のあり方〜

ジャーナリスト/研究者
中野 円佳

ジャーナリストの中野円佳氏は、基調講演で、P&Gが行った「ダイバーシティ時代の“管理職1000人の本音”調査」結果を紹介した。半数以上がダイバーシティの必要性を理解しながらも、「管理職の実践・推進が重要」と考える人は、その約半数。自身が実践・推進の役割を果たせていると答えた人は、さらにその半数、全体の12.3%にとどまった。また「イノベーションや多様な意見が生まれる」「人材が集まりやすくなる」といったメリットを認める一方、「マネジメントが難しくなる」「共通評価制度では多様な部下の評価が難しくなる」という戸惑いもうかがえた。

D&Iを実践できていると答えられる管理職は少ない
出典:P&Gダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト

中野氏は、たとえば日本人男性だけの組織に女性を入れて属性を多様化するだけでは組織内に断絶ができると指摘。それを防ぐには、日本人と外国人、男性と女性といった属性の軸を増やすよう訴えた。また、多様性のあるチームは、コミュニケーションの時間・コストがかかるが、うまく運営できれば、短時間に価値の高い成果を出せるという研究を紹介した。また、政府が進める働き方改革とダイバーシティ推進はリンクすると示すことで、あまり理解が進まない、テレワークなどの柔軟な働き方を推進する必要があると語った。

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多様性の受容と活用とは)