デジタル×サプライチェーンマネジメント改革
最新トレンド講演II
デジタル×グローバル・サプライチェーン
デジタル革命とグローバル・サプライチェーン
JDAソフトウェアの尾羽沢功氏は、生産者から消費者への一方通行型から、消費者を中心に置いて多様なタッチポイントからモノを届ける仕組みができているとSCMの潮流を解説した。ガウラン・パンディア氏は、消費者主導のほか、新興ビジネス勢力の出現や政治の変化によって不確実性が増していると指摘。ビッグデータから行動に結びつけられる洞察を得られるようになり、リアルの物流とデジタルのSCモデルとのシンクロ、AI(人工知能)による意思決定自動化といったテクノロジー進化にも言及した。そうした環境変化の中で、デジタルSCは受動的対応から、敏感に対応する段階を経て、能動的対応、外部との同期、自動化に至るとする成熟モデルを紹介。成熟度向上には、顧客理解を深め、データ基盤を構築、パートナーともリアルタイムに情報連携・戦略的コラボし、継続的学習が必要とした。最後に「JDAは現状を評価、推奨を示せます。ご相談ください」と呼びかけた。
特別講演II
顧客起点のSCM改革
イケアが挑む、顧客起点のSCM改革
イケアのジェラード・ボス氏は、キャッシュ&キャリー(顧客が購入した商品を持ち帰る)ビジネスから先進的なマルチ・チャネル・リテーラーへの改革について語った。テクノロジーの進歩や環境負荷低減の要請に加え、特に日本では高齢化が進み、車の所有も減って持ち帰りが難しくなり、従来のSCは変化が求められている。同社は、売れ筋で流通頻度の高いハイフローの商品群の多くはサプライヤーから店舗に直送されているが、店舗以外にもあらゆる方向に供給できるように物流を変えている。日本では8店舗に加え、2015年、熊本にタッチポイント(商品を実物やカタログで確認でき、注文商品の受け取りもできる小型店)をオープン。EC(電子商取引)も九州、仙台に続いて、今春から全店舗で順次導入を進める。「われわれの価値観に忠実にシンプルさを保ちながら、顧客に合わせていきます。コストも伴い、容易ではありませんが、ニーズへの最適な応え方を模索します」と述べた。
特別講演III
調達改革
IHIにおける調達活動
IHIの水本伸子氏は、同社の調達活動と調達改革について語った。経営が調達に求める収益の最大化、コストの最小化、リスクの低減に向けて、規模の経済、可視化、取引先の集中と選択と協業、業務の標準化・集約化と外注化、KPIの設定、共通ツールによる意思決定とリスクコントロールをキーワードに「調達基盤」を整備しつつ、IHI独自の購買ポートフォリオ分析や調達市場分析、社内有識者を調達活動に巻き込む専門家カウンシル活動を通じて、ビジネスユニットごとのサプライチェーンマネジメントを積極的に支援する「調達エンジニアリング」の機能を強化。また、規模を追求する日本統括の世界集約購買、中国・東南アジア・欧州・米州各地域で統括する地域集約購買、より現地化する現地購買の3カテゴリーに分けた管理で、グローバル最適調達を推進。「単に買うだけの調達から、頭で稼ぐインテリジェントとなり、調達部門を利益創出部門にする」と語った。