デジタル×サプライチェーンマネジメント改革
協賛: PwCコンサルティング JDAソフトウェア・ジャパン
協力: WASEDA-EDGE
基調講演
デジタル×イノベーション
ビジネスモデルと競争戦略
早稲田大学の井上達彦氏は「競争戦略の本質は、非競争の状況を10年がかりで築くこと」と定義。「模倣できない仕組みは、模倣によって構築される」という“模倣のパラドクス”を紹介した。例として、トヨタ生産方式は、米国自動車メーカーの「流れ作業」、自動織機の糸が絡むなどの異常を検知すると停止するが人の介在する余地も残した「自働化」、顧客が必要とする物を必要な時に必要な量だけ在庫するスーパーマーケットから学んだ「ジャスト・イン・タイム」の模倣と分析。模倣相手は、すぐに思い浮かぶ近くの同業種ではなく、異業種・異国のような遠いところにすること。原理・型に抽象化してつくり込む創造性が求められること。製品・サービスより先にまず仕組みを築くこと、などの模倣のポイントを挙げた。また、ITについては期待過剰になるバブルが繰り返されてきたと指摘。何ができるかをきちんと見極めるよう訴えた。
最新トレンド講演I
デジタル×SCM
デジタルを活用したSCM変革、グローバルで勝ち抜く手法
PwCコンサルティングの北川寛樹氏は、デジタル技術の進化による消費者の変化を指摘。それに対応して産業のオペレーションも複雑化するとしてサプライチェーン(SC)モデルを再考する必要があると訴えた。今後、企業間連携によるSCは「バケツリレー型からネットワーク型に転換する」と予想。インダストリー4.0で、各企業が持つ情報を一元的に集約して可視化する取り組みを始めたドイツの例に言及した。クラウドやIoTを活用して企業間のモノの動きの実績・計画情報を共有できれば、需要変動への対応スピードは劇的に向上する。また、3Dプリンティングを使ったアフターマーケットの部品供給や、機械学習による計画などの業務の自動化も可能になる。ただ、改革にはスピードが重要で、デジタルに理解のある人を組織中枢に置き「ビジネス、ユーザーなどのエクスペリエンス、テクノロジーの知識・経験を持つ人材を集めて一気に議論する発想が必要です」と述べた。
特別講演I
デジタル×経営、人材育成
変革に挑戦し続ける100年企業~リーダーに求められる姿勢と行動~
ミシン製造販売からプリンティング&ソリューションへ主力事業を変えながら成長してきたブラザー工業の小池利和氏は、1981年から23年半の米国駐在時代に、プリンターやファクスをヒットさせるなど売上高を25倍に伸ばした経験などを語った。米国ビジネス拡大に伴ってコールセンターやウェブサイトを整備。ERP(統合業務システム)導入などデジタル化も推進した。ビジネス環境の変化が激しい現在は「変化への対応力が企業の存続にかかわる」と強調。「成功確率を上げる努力を続けなければビジネスの運はつかめません」と心構えを説いた。また、業績・方針説明など社員に対するフェース・トゥ・フェースのコミュニケーション機会を重視。米国駐在時代からの愛称「テリー」をタイトルに冠したメッセージをイントラネットで発信。リーダーとして「社員には、圧倒的な当事者意識と他人に対するお節介を強調して、さまざまなことに自分を巻き込むことを求めています」と述べた。